アテナイで蔓延した疫病とは?

ペロポネソス戦争の時にアテナイで蔓延した疫病とは何だったのですか?

ペロポネソス戦争中、アフリカで流行していた疫病が、港町から持ち込まれ、アテナイの都市部に広がっていき、貧富の差や身分、老若男女に関係なく、次々と死に追いやっていったと伝えられています。その中にはアテナイ黄金期を創出した偉大な指導者ペリクレスも含まれており、戦争の趨勢に少なからぬ影響を与えました。

 

『古代都市のペスト』(ミキール・スワーツ画)

 

終息までの5年間に人口の3分の1が死亡したともいわれるこの惨劇は、かつては「アテナイのペスト」と呼ばれていました。

 

しかし高熱や赤い発疹、咳、呼吸困難など、歴史家トゥキディデスなどが残した当時の症状の記録から、現在ペスト説は否定されるようになり、天然痘、チフスなどの説が有力視されています。

 

あまりの感染力の強さから当時は、「スパルタ人が井戸に毒を投げた」などという噂も広まり、「人々は明日死ぬかもしれない」という恐怖から、「今楽しめればいい」という刹那主義、快楽主義に走ったといいます。