
スウェーデンの国土
ヨーロッパ北部、スカンディナヴィア半島の東側を占めるスウェーデンは、「森と湖の国」として知られる自然豊かな国。長大な南北の国土、バルト海に面する複雑な海岸線、そして氷河期の名残を感じさせる地形──この地理的背景が、北欧らしい静謐で機能的な暮らしを形づくってきたのです。今回は、そんなスウェーデンの地理的特徴を「地形」「気候」「環境」の3つの視点から、わかりやすくかみ砕いて解説します。
スウェーデンの地形は、森と湖と岩が織りなす「北方の大地」という印象そのままです。
スウェーデンは南北に約1,500キロと非常に長く、北は北極圏に入り、南はデンマークに接する温帯という具合に、地形も気候も大きく変化します。北部はスカンディナヴィア山脈が連なり、標高の高い地域も。南部は平野が広がり、農業に適しています。
スウェーデンには約10万以上の湖があるとされ、ヴェーネルン湖やヴェッテルン湖などが有名。氷河によって削られた地形で、湖と岩が点在するスウェーデン特有の氷食地形が見られます。東の海岸線は複雑に入り組んでおり、無数の群島(シュキャーゲル)がバルト海に浮かんでいます。
北国らしい寒さの一方で、意外と“やさしい気候”も持ち合わせています。
北部(ノールランド)は亜寒帯気候(Dfc)で、冬は厳寒、夏は短くも涼しい気候です。南部(スコーネ地方)では西岸海洋性気候(Cfb)に近く、四季がありつつも寒すぎず、農業も盛んです。
西からの偏西風と南からの暖流が、スウェーデンの気候を緩和しています。バルト海の存在もあり、極端に寒くなるのを防いでくれているんですね。そのため、北欧とはいえ都市部では冬でも-10℃以下になることは少なく、穏やかな印象すらあります。
自然と共存する文化の根っこには、地理的環境の豊かさがあるんです。
国土の約7割が森林という世界有数の森林国。スウェーデンではこの森林資源を大切に使い、紙や木材、バイオエネルギーとして循環利用する仕組みが整っています。アルメダールやスマーランドなどは製紙や木工産業の中心地です。
スウェーデンにはラップランド地方のような北極圏に属するエリアもあり、オーロラ、トナカイ、永久凍土といった自然が息づいています。アビスコ国立公園のような地域では、人の手が加わっていない原始的な自然環境が保たれています。
このようにスウェーデンは、氷河に削られた地形と森と湖に囲まれた自然の宝庫。その静けさと力強さが、人々の暮らしや国の文化にもしっかり根づいているわけですね。
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