ギリシャ神話における「農耕の神」とは?

ギリシア神話における「農耕の神」は、天空の神ウラノスと大地の女神ガイアとの間に生まれた巨神ティタン族の長クロノスです。

 

 

 

クロノスの子供

クロノスは妻レアとの間にハデス(冥王)、ポセイドン(海神)、ゼウス(天候、雷神)、ヘラ(結婚の女神)、ヘスティア(炉の女神)、デメテル(豊穣の女神)という6人の子をもうけますが、この子らはオリュンポス十二神の中核を担う神々となります。

 

クロノスの逸話

ウラノスの○○を切断

宇宙を支配していたクロノスの父ウラノスは、妻ガイアが産んだキュクロプスとヘカトンケイルという巨人を嫌い、タルタロス(奈落)へと幽閉しました。それに怒ったガイアがクロノスに頼み、ウラノスの性器を切り取り追放。これによりクロノスが次の宇宙の支配者となるのです。

 

ジョルジョ・ヴァザーリ画『クロノスによるウラノスの切断』

 

子を丸飲みにする

ウラノスに代わり最高神の座についたクロノスですが、「お前もいつか子らによって王座を奪われるだろう」という予言を受け、生まれたばかりの子ども達を次々と丸飲みにしてしまいます。しかしそのうち難を逃れた末子ゼウスと10年もの間争った末、クロノスは倒され、タルタロスに幽閉されました。

 

クロノスの功績

クロノスは父の性器を切って追放したり、子ども達を丸飲みにしてしまうなどと、非道な神のように思われています。しかし、彼が支配した時代は「黄金時代」と呼ばれ、人々は神と共に暮らし、クロノスの農耕の力により大地には自然と作物が実り、労働する必要もなく、災いや争いもなく、苦痛から解放され、幸せをもたらされたと言われています。

 

そのためオリュンポス神族が宇宙を支配した後も、人々に大地の恵みをもたらす神として篤く信仰されました。