古代ローマの一般的な食事とは?

 

古代ローマ人の食事といっても、庶民・貴族・奴隷など身分によってずいぶんと違いました。貴族が食べるような食事は、庶民には到底食べられないようなものでしたし、庶民の食事でも、奴隷にとってはとても豪華なものといえました。

 

 

庶民の食事

主食

庶民の主食はヨーロッパ人らしく「パン」であり、配給制でローマ市民であれば無料でもらうことができました。また古代では今のような冷蔵技術などないので、長持ちするようにカチカチに乾燥させてあり、食べる時にワインなど液体に浸して柔らかくして食べるのが一般的でした。

 

副食

副食としては、保存が効く干し魚、チーズ、ナッツ、豆類、オリーブなどが主流でした。新鮮な果物や野菜も季節によっては食べられましたが、保存のために干したり塩漬けにすることも多かったです。また、庶民はオリーブオイルを使った簡単な料理や、蜂蜜を使った甘味を楽しむこともありました。

 

貴族の食事

豪華な料理

貴族は庶民とは一線を画す豪華な食事を楽しんでいました。貴族の食事は、豊富な海鮮類や肉類、エキゾチックなスパイスをふんだんに使った料理が中心でした。例えば、魚のグリルや焼き牡蠣、野鳥のロースト、牛肉や豚肉のステーキなどがありました。

 

美食と贅沢

貴族は食べることに貪欲で、多くの料理を一度に楽しむために宴会を開き、食事は単なる栄養摂取ではなく、社交と贅沢を象徴する重要な要素でした。ワインも多量に消費され、甘味料として蜂蜜が使用されました。

 

奴隷の食事

基本的な食事

奴隷は労働力として貴重であり、最低限の食事が与えられていました。質の悪いパンや豆類、少量のオリーブオイルや野菜が主な食事内容でした。奴隷の食事は基本的にシンプルで、栄養価は低かったですが、労働に耐えられるように必要最低限の食事が提供されました。

 

剣闘士奴隷

奴隷の中でも「剣闘士奴隷」にはなんと「大麦」が与えられていました。大麦というのは小麦と違い、基本家畜の飼料であり、剣闘士は侮蔑の意味を込めて「大麦食い(ホルデアリウス)」なんて呼ばれていたそうです。

 

古代ローマの食事は、社会階層によって大きく異なるものでした。貴族の豪華な食事と庶民の質素な食事、そして奴隷の基本的な食事といった具合に、それぞれの身分に応じた食文化が存在しました。しかし、どの階層においても共通していたのは、保存性を重視した食材の利用と、食事が単なる栄養摂取以上の文化的・社会的な意味を持っていたことです。