ヨーロッパで大陸性気候の国はどこ?

ヨーロッパにおける大陸性気候の分布図
Dfa:夏暑い・冬寒い/Dfb:夏涼しい・冬寒い/Dfc:夏かなり短い・冬きわめて長く厳しい

出典:著者:Beck, HE, McVicar, TR, Vergopolan, N., Alexis, B., Lutsko, NJ, Dufour, A., Zeng, Z., Jian, X., van Dijk, AIJM, Miralles, DG /?Wikipedia commons CC BY 4.0より

 

ヨーロッパと聞くと、穏やかな気候や緑の田園風景を思い浮かべる人も多いかもしれませんが、実はその東部や内陸部には大陸性気候が広がっていて、冬は極寒、夏は灼熱という、かなり厳しい自然条件の中で人々が暮らしています。では、ヨーロッパでこの大陸性気候に属する国々はどこなのか?そして、それぞれの地域の風土にはどんな特徴があるのかを見ていきましょう。

 

 

ロシア西部

大陸性気候の象徴ともいえるのがロシアです。特にヨーロッパ側の西ロシアでは、過酷な気温差が生活を大きく左右しています。

 

冬の寒さが桁違い

ロシア西部は、シベリア寒気団の影響を強く受ける地域。冬には-30℃近くまで下がることもあり、街全体が雪と氷に包まれます。夏は一転して30℃近くまで上がるため、まさに「気温のジェットコースター」のような日常なんですね。

 

自然と共存した暮らし

この寒暖差に適応するため、断熱性の高い木造住宅や、保存性のあるピクルス・燻製文化が育まれました。また、交通網も冬に備えた設計がされていて、自然との共存が生活の前提となっているんです。

 

中東欧の内陸国

ポーランド、ハンガリー、チェコ、スロバキアなど、内陸に位置する国々も大陸性気候に属しています。海の影響を受けにくく、気温の年較差が大きいのが特徴です。

 

農業と四季のリズム

これらの国々では、夏の短い生育期を生かして穀物や芋類が栽培されています。四季がはっきりしていて、春の訪れや秋の収穫といった自然のサイクルに寄り添う暮らしが根づいています。

 

文化の中に残る冬の記憶

ポーランドの冬の祝祭や、ハンガリーの温泉文化などは、寒い季節に人々がどう楽しみとぬくもりを見出してきたかを示す好例です。過酷な冬が文化を豊かにしたとも言えるわけですね。

 

バルカン半島諸国の内陸部

意外に知られていませんが、セルビアや北マケドニア、ブルガリアの内陸部も大陸性気候に属しています。山に囲まれた盆地状の地形が、気温の振れ幅を大きくしているのです。

 

都市と農村で気候体感に差

首都など都市部では多少気温が和らぐものの、農村部では夜間の冷え込みが厳しいという特徴があります。また、高地では雪解け水を利用した農業が発達してきました。

 

盆地特有の風習と文化

囲まれた地形ゆえに、外部との接触が限られていたこともあり、地域ごとの民俗衣装や祭りなどが今でもしっかりと残っているのも魅力です。気候が文化の“保存”を後押ししてきた側面もあるわけです。

 

このように、大陸性気候に属するヨーロッパの国々は、ロシア西部から中東欧、さらにはバルカンの内陸部にまで広がっています。寒暖差という自然条件の中で、人々は独自の知恵と文化を育みながら暮らしてきたんですね。