
ハンガリーの国旗
ハンガリーの国土
大平原とドナウ川に抱かれたハンガリーは、中欧の中心でありながら、独自の言語と文化を育んできた国です。その都市は、オスマン支配、ハプスブルク統治、社会主義体制を経て、現在はEUの一員として変化を遂げつつあります。ハンガリーの都市は、多様な支配と民族の記憶が重層的に折り重なる、歴史の「交差点」のような存在です。
このページでは、ハンガリーの都市の特徴、歴史の変遷、そして代表的な三大都市についてご紹介します。
|
|
|
|
ハンガリーの都市は、豊かな温泉資源と優美な建築文化、そして教育・芸術における高い水準を兼ね備えています。
ブダペストを中心に、都市はドナウ川沿いに発展しており、橋や川岸の景観が都市文化の一部となっています。ブダ側の丘とペスト側の平地が融合した構造が特徴的です。
ヘーヴィーズやミシュコルツなどでは、天然温泉が都市機能の中に組み込まれており、保養地や医療観光の拠点としても知られています。
大学や音楽院、美術館が各都市に集中しており、セゲドやペーチのような地方都市も学問と文化の発信地として存在感を放っています。
ハンガリーの都市史は、建国1000年を超える長い歴史と、多くの征服と再建の繰り返しに特徴づけられます。
10世紀に建国されたハンガリー王国では、エステルゴムやセーケシュフェヘールヴァールが王都として発展し、聖イシュトヴァーンによるキリスト教化とともに都市制度が整備されました。
16世紀以降のオスマン支配では多くの都市が破壊されましたが、ブダなどではトルコ風浴場やモスクが築かれ、都市にイスラム文化の痕跡が刻まれました。
18〜19世紀、ハプスブルクの支配下で都市は再整備され、ブダペストはヨーロッパ有数の近代都市へと変貌しました。鉄道・オペラ・ブールバールなどが整備され、「ドナウの真珠」と称される都市景観が完成します。
ハンガリーの文化と歴史を象徴する三つの都市を見ていきましょう。
首都であり、ブダとペストの2都市が統合された中欧最大級の都市。ドナウ川と国会議事堂、王宮、温泉文化、カフェ文化が融合した都市で、政治・経済・文化の中心です。
南部の学術都市で、セゲド大学を中心とした教育・研究機能が強い都市です。ドナウ=ティサ川に挟まれた立地と、フェスティバルや演劇などの文化活動でも知られています。
ハンガリー第二の都市で、カルヴァン派の宗教中心地としても有名。政治的には「東の首都」とも呼ばれた時期もあり、現在は工業・研究の拠点としても発展しています。
ハンガリーの都市は、どこを訪れても歴史の重層性と文化の深みを感じさせてくれます。温泉や芸術、宗教や学問が自然に溶け合った都市の姿には、ヨーロッパの中心にふさわしい品格がありますね。