ヴェローナの歴史

ヴェローナの街並み

 

ヴェローナ(伊:Verona)は、イタリア北東部ヴェネト州に属する都市です。街の中央にアディジェ川が流れていることから、古来より北ヨーロッパとイタリアを繋ぐ交通の要所として発展してきました。イタリアの中でも中世の面影が特に多く残る都市で、「ロミオとジュリエット」の舞台になったことでも有名です。

 

ヴェローナの時代変遷

 

古代

ヴェローナには先史時代にはすでに集落が形成されていたことがわかっています。前3世紀頃ローマと同盟関係となり、ローマに征服されてからは、同国の重要な軍港都市として繁栄するようになりました。ローマ時代に作られたローマ劇場や円形闘技場は、現在も重要な観光資源として保全されています。

 

中世

西ローマ帝国崩壊後は、東ゴート王国東ローマ帝国・ランゴバルト王国・フランク王国の支配を経て、12世紀には自由都市に、13世紀〜14世紀にはスカラ家統治のもとで全盛の時代を迎えました。15世紀には東方貿易で強大化したヴェネツィア共和国の支配に入りますが、引き続き商業・文化の中心として繁栄を続けました。

 

中世ヴェローナの自然災害

 

1117年、大地震で市街がことごとく崩壊し、約3万人が犠牲になる大災害に見舞われています。また1530年にはペストの大流行により、全人口の60%が死亡(4年前55000人いた人口が20000人にまで減少)する未曾有の悲劇に合いました。

 

近代

ヴェネツィア共和国崩壊後(1797年〜)は、オーストリアによる支配を受けていましたが、1866年の第三次イタリア独立戦争の結果、イタリア王国(1861年、イタリア統一の完成とともに建国)へと編入されます。そして20世紀以降は機械製造・織物・製紙などを中心に、急速な工業発展を遂げていきました。

 

第二次世界大戦以降

第二次世界大戦末期のヴェローナは、ナチス傀儡のイタリア社会共和国の支配下に置かれ、連合軍兵士・ユダヤ人・反ファシストなどを収監する拘留地として利用されました。戦後冷戦期に突入すると、東西冷戦の境界(通称:鉄のカーテン)に近いこの都市は、戦略的重要性が高まり、冷戦終結までアメリカ軍が駐留するなど、なかなか気の休まらない緊張の時代を経験しています。

 

現代

冷戦が終わると、各時代を象徴する貴重な文化財が多く残ったこの街には、たくさんの観光客が訪れるようになり、経済的に活気を取り戻すようになりました。2000年には街そのものが世界遺産に登録されています。