
氷と火が共存する島、アイスランド。氷河と火山が織りなすダイナミックな自然に囲まれ、そこには他では見られないようなユニークな動物たちが生きています。断崖絶壁に巣を作るカラフルな海鳥パフィン、大海原を泳ぐクジラ、そして牧羊のパートナーとして知られるシープドッグ──この厳しくも美しい土地では、自然と動物、そして人の暮らしがひとつの物語のように結びついているんです。このページでは、アイスランドの動物たちを「自然」「文化」「代表動物」の3つの視点から、わかりやすくかみ砕いて紹介していきます。
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氷と溶岩の大地に育まれたアイスランドの自然は、動物たちのすみかとしても独特です。
アイスランドは、ヨーロッパの中でも特に火山活動が活発な国である一方で、国土の10%以上が氷河に覆われています。この極端な自然条件のもと、動物たちは過酷な環境に適応しながら生きています。草食動物は限られていますが、海鳥や海洋哺乳類は非常に豊富なんです。
北大西洋の冷たい海流がぶつかるこの海域は、魚やプランクトンの宝庫。そのため、クジラやアザラシ、海鳥など、海に依存する動物たちが数多く暮らしています。とくに夏の季節は、渡り鳥やクジラの“再会の季節”ともいえるんですよ。
もともと木が少なく、しかもバイキング時代に伐採が進んだため、自然林の割合は極めて少ないんです。そのため森に生きる哺乳類よりも、草原や海岸に適応した種が多く見られます。この特異な環境が、独自の生態系を生んでいる理由なんですね。
動物たちは、アイスランド人の暮らしや信仰、歴史とも密接に関わってきました。
アイスランドでは、昔から羊の放牧が盛んで、農家の多くが羊毛や乳製品を生産しています。その際に欠かせないのがシープドッグの存在。牧羊犬は険しい地形を駆け巡りながら羊を誘導し、農家の大切なパートナーとして重宝されてきたんです。
アイスランドの海は漁業の宝庫。なかでもクジラとの関わりは深く、伝統的に捕鯨も行われてきました。現在では商業捕鯨をめぐる議論が国際的にも注目されていますが、一方でホエールウォッチングが盛んになり、観光資源としても大きな役割を果たしています。
アイスランドのサガ(伝説文学)やエッダ(神話詩)には、多くの動物が登場します。鳥が神の使いとして描かれたり、犬が忠誠心の象徴となったり。自然を畏れ敬う暮らしの中で、動物は人びとの精神世界にも根を下ろしてきたのです。
それでは、アイスランドを代表する動物たちを紹介していきましょう。この島国ならではの個性派ばかりです。
アイスランドに生息するパフィン
カラフルなくちばしと愛嬌たっぷりの表情で大人気の海鳥。5月~8月の間に繁殖のため断崖に戻り、ヒナを育てます。アイスランドには世界最大級の繁殖地があり、ラトラビャルグの断崖などでは、目の前で観察することもできるんですよ。
クジラ
アイスランド周辺の海域には、シロナガスクジラ、ザトウクジラ、ミンククジラなど10種以上が確認されています。とくに夏はエサが豊富なため、観察のベストシーズン。レイキャビクやフーサヴィークなどの港町では、ホエールウォッチング・ツアーが大人気です。
アイスランド固有の犬種シープドッグ
この犬種は、ヴァイキングが持ち込んだ犬が起源とされるアイスランド唯一の固有犬種。俊敏で賢く、羊や馬の誘導が得意です。ふさふさの毛とピンと立った耳が特徴で、まさにこの島の風土にぴったりのパートナー。国内では今も多くの家庭で飼育されています。
アイスランドの自然は厳しいけれど、そこに生きる動物たちはみんな、とってもユニークでたくましい存在ばかり。人と動物、そして自然の距離が近いこの島だからこそ、育まれてきた関係があるんですね。
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