
森と湖の国と呼ばれるフィンランド。その大地の80%近くが森林に覆われ、無数の湖と小川が点在しています。この北欧の自然のなかでは、人間と動物が互いの存在を意識しながら共に暮らしてきました。特にトナカイの放牧や、クマやオオカミにまつわる伝説など、動物たちはフィンランド文化そのものに深く根を下ろしています。このページでは、そんなフィンランドの動物たちを「自然」「文化」「代表動物」の3つの切り口で、わかりやすくかみ砕いて紹介していきます。
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極寒の冬と白夜の夏を繰り返すこの国では、どのような動物たちが暮らしているのでしょうか。
フィンランドの大部分は、タイガ(亜寒帯針葉樹林)に覆われています。ここにはクマ、ヘラジカ、オオカミなどの大型哺乳類が生息していて、人里離れた森では今も野生動物の王国が広がっています。
「千の湖の国」ともいわれるフィンランド。大小さまざまな湖や湿地には、カワウソやビーバー、そして多種多様な水鳥が生息しています。とくに渡り鳥にとっては重要な中継地でもあるため、春と秋には空も湖もにぎわうんです。
北部のラップランドは、ツンドラと低木林が広がる過酷な自然環境。ここではトナカイやホッキョクギツネといった寒冷地に特化した動物が生きていて、雪と光の世界に適応したライフスタイルを見せてくれます。
動物は、フィンランド人の生活や神話、信仰と密接につながっています。
先住民族サーミ人にとって、トナカイは生活の中心。肉や毛皮、移動手段としてだけでなく、精神的な象徴としても大切にされています。北極圏では今も遊牧的な放牧が行われていて、人と動物の共生のあり方が色濃く残っています。
古代フィンランドには自然崇拝や精霊信仰があり、動物は森の精や守り神として扱われてきました。たとえばクマは「森の王」であり、その名を直接呼ぶことすら避ける風習もあったんです。
フィンランドでは、自然との共生が社会全体の価値観として根づいています。動物保護の法律が整備され、学校教育でも環境倫理を重視。都会に暮らす人々も、週末には森での散策や野生動物の観察を楽しんでいるんです。
それでは、フィンランドの自然と文化を象徴するような動物たちを紹介していきます。
トナカイ
フィンランド北部の暮らしに欠かせない動物。メスもオスも角を持ち、寒冷地に適した体をしています。サーミ人の放牧文化の要でもあり、観光の場面ではサンタクロースの相棒としてもおなじみ。その存在は、フィンランドの自然と文化の“結節点”と言えるでしょう。
フィンランドの深い森に生きる最強の哺乳類。めったに人前には現れませんが、静かな森に入れば足跡や爪痕を見つけることができます。近年ではクマ観察ツアーも人気で、保護しながら経済にもつなげる取り組みが進んでいます。
堂々とした体格と巨大な角が特徴。フィンランドでは道路標識にまで登場するほど身近な存在で、森の中で静かに草を食む姿は、まさにこの国の象徴。秋には繁殖期の“鳴き声”が森中に響き渡ります。
フィンランドの森林に生息する最大級のフクロウ。大きな羽音もなく飛び、森の静けさの中に潜んで獲物を狙います。神秘的な存在として、伝承や精霊信仰の中にもよく登場する動物です。
フィンランドの動物たちは、ただ自然に生きるだけじゃなく、人々の心や暮らし、信仰の中にも深く入り込んでいる存在なんですね。静かで力強い自然のリズムと共に生きる姿勢が、そこに表れているのかもしれません。
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