「重金主義」は重商主義の初期の形態で、富の蓄積とは金銀の蓄積であるとし、植民地拡大と鉱山開発を推し進め、金銀の輸出を制限・禁止する政策です。
大航海時代の先駆者となったポルトガル・スペインにより推し進められましたが、重金主義の過熱は国内の貨幣価値の低下を招き、国内産業の発展を阻害する事態を引き起こしました。
そこで重金主義に代わって台頭したのが「貿易差額主義」です。金銀の蓄積ではなく、国内産業を保護・育成し、輸出>輸入の状況を作ることによる「差額」で富を蓄積していこうとする政策です。
とくに17世紀後半からイギリスにより推進され、イギリスはこの手法で富を蓄積し資本家を育て、18世紀からの産業革命の土台を築き上げていきました。
ただしこの貿易差額主義は、「産業を国が統制すること」が前提となるので、国から保護を受ける一部特権階級以外の不満が高まっていき、産業革命の進展とともに「自由貿易主義」に取って代わられるようになるのです。
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