広大な植民地を支配していた時代のイギリスは大英帝国(イギリス帝国)と呼ばれ、とりわけ19世紀の国力は突出したものでした。世界はイギリス一強の状態であり、世界秩序はイギリスの裁量次第でどうにでもなるような「パックス・ブリタニカ(イギリスによる平和)」を体現していたのです。
イギリスが他の大陸ヨーロッパ諸国とは一線を画する「栄光ある孤立」と呼ばれる独自路線をとることができたのは、その圧倒的な国力が背景にあります。
長らく世界の覇権国といえば中国やインド、オスマン帝国などアジア方面の大国でした。しかし18世紀半ばに産業革命を成し遂げたイギリスは、蒸気機関の発明を背景に「世界の工場」と呼ばれるほどに生産力を増大させ、一足飛びに世界の覇者に名乗りを上げたのです。
蒸気機関を搭載した蒸気機関車は、工場生産の原材料・製品の輸送効率を大幅に上げ、産業革命の中核をなした。
18世紀後半、アメリカ独立戦争の敗北によって「金のなる木」であった北アメリカ植民地を失ってしまいますが、19世紀になり今度はインドを完全なる支配下に置きます。そしてインドをアジア支配の拠点とすることで、イギリス帝国再び繁栄を開始するのです。
上記のインド支配の確立にともない、インド産のアヘンを中国に輸出するようになりました。これで中国清王朝を弱体化させられる上に、数億人規模の市場で商売することで、北アメリカ植民地喪失の損害を補ってあまりある莫大な利益を得るようになるのです。
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