14世紀末に書かれたアーサー王のタペストリー
アーサー王の基本情報
登場作品:『ブリタニア列王史』『カンブリア年代記』
誕生:5世紀後半
死没:6世紀初頭
在位:5世紀後半〜6世紀初頭
民族:ブリトン人
功績:イギリスに侵入するサクソン人を撃退
アーサー王は5世紀後半から6世紀初頭にかけて活躍したとされるブリトン人の王です。中世の騎士道物語において、ケルトの地に侵入するサクソン人を撃退したとされる伝説的英雄として知られます。
伝説上のアーサー王は12世紀公刊の『ブリタニア列王史』がヒットしたのをきっかけに、多くの人に知られる存在となりました。その実在性についてはいまだ議論が行われていますが、6世紀頃の、サクソン人からのケルト王国防衛において活躍した、ケルト人の一武将がモデルになったのではと考えられています。
アーサー王に関する様々な伝説、エピソードはアーサー王物語に由来しており、そのうちのほとんどは民間伝承や創作であるとみられています。そのためアーサー王が実在の人物であったかどうかは、現在でも議論の対象であり決着がついていません。
アーサー王に関する最古の文字資料として『ブリトン人の歴史(Historia Brittonum)』が有名ですが、この中には「ローマ建国の英雄ブルータスがブリテン島に流れ着きブリトン人の王となった」など神話的な伝承も含まれており、史料としての価値はあまり高くありません。
また同時代にブリトン人のキリスト教徒に書かれた『ブリタニアの荒廃と征服(De Excidio et Conquestu Britanniae)』は史料的価値は高いのですが、こちらはアーサー王のことなど一切書かれていません。アーサーがブリトン人の英雄として実在したのなら、サクソン人との戦いを記録した史料にその名がないのはなぜなのか・・・ということでその実在を疑う声は大きく、歴史学的に彼を実在の人物として扱うことはないのです。
ただしサクソン人の侵入が激化していた時期、イギリスにブリトン人の小王国が分立していたのはまぎれもない事実であり、共通の敵に対処するべく、それらの小王国を束ねる1人の王がいた、と考えるのは極めて自然です。そのためアーサー王と全く同じの人物はいなかったとしても、モデルとなった人物がいた可能性はかなり高いとはいわれています。
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