古代ギリシアの人々はどのような生活を送っていたのでしょうか。「古代」と聞くとすごく原始的な生活を送っていたかのような想像をしてしまいますが、調べてみると驚くほど先進的で、現代の私たちとそこまで変わらない生活観があったことがわかります。
ギリシャは風土的に乾燥しているため、前5世紀頃までの古代ギリシア人の食生活はナッツ、豆、大麦粥などを主食とするなど質素でした。しかし前5世紀以降、海上交易が活発になってからは、エジプトや小アジアなど肥沃な土地から小麦が輸入されるようになり、西洋人らしくパンを主食にするようになります。またたんぱく源としては豚や牛などの肉はめったに食べられないぜいたく品だったので、魚肉が主でした。飲み物としてはブドウの栽培がさかんだったので、ワインがよく飲まれ、日持ちすることから飲用水としても利用されていました。
古代ギリシアにおいて、自宅にトイレを備えている家庭はごく一部のお金持ちに限り、公共設備としてもトイレはありませんでした。ではどこで用を足していたのかというと、野外の人里離れた場所でするのが一般的で、下水設備もありませんでしたので、チフスやペストといった感染症蔓延の原因になっていました。古代ギリシア衰退の間接要因として前5世紀末のペストの大流行があるといわれています。
古代ギリシア社会において、ポリス全盛の時代にはバラネイオン、ギムナシウムと呼ばれる公共浴場が人気を博していました。熱気浴や床暖房など設備も充実しており、病気療養や身心の癒しなど、現代とそう変わらない目的で使われていたのです。古代ギリシア衰退後も、その風呂文化は古代ローマに引き継がれ、いっそうの発展を遂げていくことになります。
古代ギリシア人のファッションスタイルは男性も女性も、キトンと呼ばれる一枚布で身体を巻きつけるだけのシンプルな装いでした。ギリシャの気候が温暖ということもあり、薄手の生地のゆったりとした服装が好まれたのです。また外出時にはヒマティオン、クラミュス、エフェストリスと呼ばれる外套を着用していました。
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