ヨーロッパとアフリカの関係史

ヨーロッパとアフリカの関係は長い歴史を持ち、その起源は人類の歴史そのものにまで遡ります。旧石器時代にアフリカからヨーロッパへと人類が移動し、文明が形成されるとともに様々な交流が生まれました。古代ローマ時代には北アフリカが帝国の一部となり、アフリカ出身の皇帝もいたことから、文化や宗教の交流はいっそう深まりました。しかしその後、ヨーロッパとアフリカの関係は植民地主義、奴隷貿易、そして現代の経済・政治関係へと変遷して、それらは互いに深く影響を与えながら、今日に至るまでその複雑な関係性を保っているのです。このカテゴリーではそんなヨーロッパとアフリカの関係を掘り下げています。

 

 

 

古代から中世:初期の接触と交流

古代のアフリカとヨーロッパの関係を語る上で、まずはローマ帝国とアフリカ北部地域との交流が重要となります。イタリア半島から勢力を拡大したローマ帝国は北アフリカを支配下に組み込み、カルタゴやアレクサンドリアなどの都市は、帝国の文化・経済の中心地として栄えました。

 

そして中世になると、アフリカとヨーロッパの間の交流はイスラム教の拡大を介して行われることになります。8世紀に、中東から勢力を拡大したムーア人(イスラム教徒のベルベル人)が北アフリカ、イベリア半島を征服し、西洋文化、科学、哲学に絶大な影響を与えるようになるのです。

 

またこれと同時に、イスラム教徒に奪われた土地を奪還せんとする、キリスト教徒によるレコンキスタが開始され、ポルトガルスペインの成立に繋がったことも、歴史的に非常に重要です。

 

近世:植民地化と奴隷貿易

15世紀から16世紀にかけて、航海技術の進歩と絶対王政諸国からの援助いう後押しもあり、ヨーロッパの探検家たちがアフリカ沿岸部を探検し始めました。絶対王政諸国とは、ポルトガルスペインフランスイギリスなどの、近世以降ヨーロッパで覇権を争った中央集権国家のことです。これらの国は、アフリカ各地に拠点を設け、アジアやアメリカを対象に貿易や植民地開拓、キリスト教の布教活動などを行っています。

 

また、近世の関係史で特に注目すべきは、大西洋奴隷貿易です。この貿易は、ヨーロッパ諸国によるアメリカ大陸の植民地化とともに拡大し、大量のアフリカ人が奴隷として新大陸に売られるという人道的危機を引き起こしています。この結果、アフリカの社会経済は深刻な打撃を受けるとともに、アフリカの文化や民族が新大陸に伝播し、世界の文化や民族構成に大きな変化と変動をもたらしているのです。

 

 

近代:植民地支配と独立運動

19世紀から20世紀初頭にかけての「アフリカ分割」は、ヨーロッパ諸国によるアフリカの直接支配の時代を象徴しています。この時期、ベルギードイツ、フランス、イギリスなどのヨーロッパ列強は、アフリカ大陸のほぼ全体を分割し、その資源を利用して自国の産業革命を推進しました。

 

「帝国主義の時代」とも呼ばれるこの時代には、ヨーロッパーアフリカ間の人的・物的交流はさらに加速し、たくさんのヨーロッパの文化、宗教、法律がアフリカに持ち込まれましたが、これは多くの場合、アフリカの人々にとって強制的なものであり、地元の文化と伝統を無視した形で行われました。

 

そのため、20世紀中盤になると、アフリカ全土で独立運動が高まり、次々と宗主国から離反していくのです。この独立運動は、ヨーロッパの植民地主義からの自由とアフリカの自己決定権を追求するものであり、全世界の植民地独立の波を象徴するものといえました。

 

ヨーロッパもヨーロッパで、二度の大戦(第一次世界大戦第二次世界大戦)を経て衰退し、もう植民地を維持する金も体力もなかったことから、わりとあっさりアフリカから撤退し、「支配」とは別の関係性を模索するようになるのです。

 

現代:新たな関係性の模索

現代のアフリカとヨーロッパの関係は、「支配者と被支配者」ではなく、「共に歩むパートナーシップ」を目指して進化しています。欧州連合(EU)が主導し、アフリカ諸国との間で経済協力や開発援助を通じて相互依存の関係を深めているのです。

 

しかしながら、過去の植民地支配の影響は未だに根深く残っています。資源の過度な採掘や人口の搾取、さらには、人間の尊厳を無視した奴隷貿易など、アフリカの多くの問題は、ヨーロッパとの歴史的な関係に起因しています。そのため、アフリカとヨーロッパが真のパートナーシップを築くためには、この歴史的な問題をしっかりと認識し、それを乗り越えるための対話と理解が不可欠です。ヨーロッパの人々はもちろんですが、私たち日本人も、ヨーロッパと深い関係を結んできた当事者として(参考:ヨーロッパと日本の関係史)、この問題に向き合っていく必要があると思います。

 

アフリカとヨーロッパの間の関係史は、長く複雑なものであり、双方の歴史と文化に深く影響を与えてきました。この関係を理解することで、世界史を理解し、国や地域を超えた人類のつながりを理解し、その中で起こる問題に対するより深い洞察を得ることができると個人的には確信しています。