ポルトガル音楽の特徴と歴史

ポルトガルはヨーロッパ最西端の国で、ヨーロッパ諸国の中で初めて日本中国などアジア圏の国々と接触した歴史を持つ国です。現代日本で広く使われている外来語の中にも、ポルトガル語を語源とする言葉がたくさんあります。ここではポルトガルの音楽について紹介します。

 

 

民族音楽ファド

ポルトガルの音楽の中で最も有名なのは、ファドと呼ばれる民族音楽です。ファディスタと呼ばれる歌い手を中心に、伴奏者たち数人で演奏し、丸いフォルムに12本の弦が張られたポルトガルギターが伴奏によく用いられます。ファドには、首都リスボンのものと、ポルトガル最古の大学がある学生都市コインブラのものの二種類があり、演奏者の人数や楽曲の傾向などが少し異なります。

 

ファドの発祥

ファドの形式が生まれたのは19世紀、ポルトガルがアフリカを植民地として領土の拡大を狙っていたころで、植民地から連れてこられた奴隷たちをはじめとした貧しい人たちが歌っていた歌が発展してきたものとされ、独特の情緒ある雰囲気が特徴となっています。

 

現在では無形文化世界遺産にも登録されているファドは、ファドの国民的歌手アマリア・ロドリゲスの活躍のおかげもあって、ポルトガルのみならず世界中で知られるようになりました。

 

おすすめ楽曲

スカルラッティ『ソナタニ短調、K141、L422』

17世紀の鍵盤音楽の主要人物の一人、スカルラッティが、ポルトガルの国王に贈った曲の一つ。スカルラッティはポルトガルとスペインの王宮音楽家として活躍した。

 

ケイル『ブランカ夫人』

ケイルは現在のポルトガル国歌も作曲した、19世紀ポルトガル音楽の中心的な人物のひとり。ポルトガル国民楽派と位置付けられ、郷土色の強い作品を多く残している。

 

アマリア・ロドリゲス『暗いはしけ』

ファドの人気を世界的なものにした、映画の劇中歌。