西岸海洋性気候と温暖湿潤気候の違い

西岸海洋性気候と温暖湿潤気候の違い

ヨーロッパの西岸海洋性気候は温暖で湿潤だが、温暖湿潤気候よりも降水量が均一で寒冷な冬が少ない点で異なる。本ページでは、このような地理的要因やその影響についてさらに詳しく掘り下げていく。

西岸海洋性気候と温暖湿潤気候の違い

アンダマン諸島に接近するモンスーン雲
濃密な雲がポートブレアの沿岸に迫る様子をとらえた写真
温暖湿潤気候で支配的なモンスーン(季節風)の影響

出典:Photo by RIDHVAN SHARMA / Wikimedia Commons CC BY-SA 4.0より


ヨーロッパ西部に広がる西岸海洋性気候と、日本の大部分を覆う温暖湿潤気候。どちらも「わりと温暖で雨も多い」気候なんですが、実はその中身はけっこう違います。今回は、この2つの気候を比べて、それぞれの“らしさ”を浮き彫りにしていきましょう。



気温の特徴のちがい

まずは「どんな温度の変化をするのか」から見てみましょう。


西岸海洋性気候は年中おだやか

西ヨーロッパのような西岸海洋性気候の地域では、気温の変化がとてもマイルド。夏は涼しめで、冬もそれなりに寒いけど、ガツンと冷え込むことは少ないです。まさに「四季はあるけど、極端じゃない」って感じ。


温暖湿潤気候は季節ごとの差が大きい

一方、日本のような温暖湿潤気候は、四季の差がはっきりしているのが特徴。夏はムシムシと暑く、冬は地域によっては雪が降るほど冷える。この「暑い・寒い」の差が大きいのがポイントです。


降水のパターンのちがい

次に、「雨の降り方」の違いをチェックしましょう。


西岸海洋性気候は年間を通して安定

西岸海洋性気候では、一年を通して満遍なく雨が降るのが特徴。偏西風と大西洋の影響で、しとしととした雨がコンスタントにやってきます。だから干ばつも少なく、農業にはありがたい環境なんです。


温暖湿潤気候は夏に雨が集中

温暖湿潤気候では、夏にまとまった雨がドカンと降るのがよくあるパターン。梅雨や台風など、湿気たっぷりの空気が押し寄せて、大雨になることもあります。逆に冬はカラッとしている地域も多いです。


風の影響とそのちがい

風の動きも、この2つの気候を分ける大きなカギです。


偏西風と海流のセットが西岸海洋性のカギ

西岸海洋性気候の背景には、偏西風北大西洋海流の存在があります。これらがセットで海からの湿った空気を運び、気温を穏やかに保ってくれるんです。風も海も、とにかく「西から東へ」がキーワード。


モンスーン(季節風)が温暖湿潤気候のベース

温暖湿潤気候では、モンスーン、つまり季節風が支配的です。夏は海からの湿った風が吹き、雨が多くなる。冬は逆に大陸からの乾いた風が吹いて、寒くてカラッとした天気になる。風の向きが季節でガラッと変わるのが特徴なんですね。


緯度と分布地域のちがい

この2つの気候が、世界のどこに分布しているかも比べてみましょう。


西岸海洋性気候は中緯度の西側に多い

西岸海洋性気候は、主にヨーロッパ西部やニュージーランドの一部など、中緯度帯の大陸西岸に分布しています。大西洋や太平洋に面した場所が多く、温帯でも穏やかな気候がつづくのが魅力。


温暖湿潤気候は東アジア・アメリカ東部に多い

温暖湿潤気候は、日本や韓国、中国南部、そしてアメリカ南東部など、大陸の東側に広く分布。こちらはモンスーンの影響を強く受ける地帯なので、気候のリズムもそれに従っています。


西岸海洋性気候と温暖湿潤気候は、一見似たように見えても、海や風、緯度や季節の影響などがまったく異なるんです。どちらも自然とうまく付き合ってきた“暮らしやすい気候”ですが、それぞれの違いを知ることで、地域の文化や生活の背景にもより深く迫れるようになるんですね。