イギリスに暮らす有名な動物たち

イギリスの動物・生物

イギリスは温暖湿潤な気候のもと、キツネやアナグマ、カワセミなどの野生動物が豊富に生息している。海岸線や湿地も多く、渡り鳥の重要な休息地となっている。本ページでは、このあたりの地理的要因とイギリスの自然多様性との関連について詳しく掘り下げていく。

イギリスに暮らす動物たち

イギリスの国鳥コマドリ


島国・イギリス──緑あふれる田園風景や、霧に包まれた森の奥では、昔からたくさんの動物たちが静かに、でもしたたかに生きてきました。
彼らはただ自然の一部というだけでなく、時には王侯貴族の狩猟の対象となり、時には文学や詩の中で象徴的な存在として描かれてきたんです。


イギリスの動物たちは、自然環境と人間文化のあいだで、独特の関係を築いてきました。


このページでは、そんなイギリスの自然と動物たちについて、「環境」「文化」「代表動物」という三つの視点から、できるだけ噛み砕いてご紹介していきます。
知れば知るほど見えてくる、イギリスという国のもうひとつの顔──動物たちが語ってくれる物語を、ここから一緒にたどっていきましょう。



イギリスの自然と生態系

温暖湿潤な気候が育むイギリスの草原と森の写真

ニュー・フォレスト(イングランド)の草原と森
イギリスは年間を通して雨が多く、冬も極端に冷えにくい気候が緑を保つ。
草原と落葉広葉樹の林が並ぶ景観は、牧畜と森の利用の歴史とも結びついている。

出典:『Grassland and woodland, New Forest』-Photo by Robin Webster/Wikimedia Commons CC BY-SA 2.0


 


温帯に属するイギリスの自然は、一見するととてもおだやか。でもその内側では、動物たちが生きていくのにちょうどいい、絶妙なバランスが保たれているんです。過酷すぎず、かといって単調でもない──そんな環境が、独特の生態系を育んできました。 イギリスの自然は、「控えめだけどしたたか」な動物たちの舞台なのです。


海に囲まれた島国ならではの自然条件

イギリスは、大小さまざまな島々からなる島国。海に囲まれていることで、外来種の侵入がある程度制限され、その一方で、環境に適応した生き物たちが独自の進化を遂げてきました。
哺乳類や爬虫類の種類は多くありませんが、そのぶん鳥類や昆虫の多様性が際立っており、空と足元の世界がとてもにぎやかなんですね。


温暖湿潤な気候が育む草原と森

イギリスの気候は、年間を通して湿り気があり、極端な暑さや寒さがほとんどありません。このため、常緑の牧草地や低木林が広がり、草食動物や小動物にとって暮らしやすい環境が保たれています。
キツネやアナグマといった中型哺乳類が安定して生息できるのも、この穏やかな気候と植生があってこそ。派手さはなくても、生命が長く続けられる土台が整っているんです。


都市と自然がゆるやかにつながる環境

ロンドンをはじめとする都市部でも、公園や庭園が多く、リスやハリネズミ、さまざまな鳥たちがごく自然に暮らしています。
人の生活圏と野生がきっぱり分かれているのではなく、ゆるやかに混ざり合って共存しているのがイギリスらしさ。都市の中に自然が溶け込んでいるからこそ、動物たちの存在が日常の風景として感じられるのです。


イギリスにおける動物文化

英国のドッグショー「Crufts」の写真

イギリスのドッグショー「Crufts」の写真
英国では犬の品評会・競技会が盛んで、動物文化の象徴として語られやすい。
Cruftsは世界的にも知られる大規模イベントとして定着している。

出典:『Day 70 - Crufts 2013』-Photo by West Midlands Police/Wikimedia Commons CC BY-SA 2.0


 


動物たちは、イギリスの文学や歴史、そして人々の日常のなかで、長いあいだ親しまれてきました。ただ「自然の一部」というだけでなく、物語の主人公になり、ときには隣人のような存在として扱われてきたんです。
>イギリスでは、動物は「遠い存在」ではなく、暮らしのすぐそばにいる仲間でした。


動物たちが活躍する物語

『くまのパディントン』『ピーターラビット』『くまのプーさん』──これらのイギリス生まれの物語は、今や世界中で愛されていますよね。
こうした作品に共通しているのは、動物たちがとても自然体で、人間社会のすぐ隣に生きていること。背景には、自然や動物を身近な存在として感じてきた、イギリスならではの感覚があります。だからこそ、子どもだけでなく大人の心にも、そっと入り込んでくるんです。


野生動物保護とガーデン文化

イギリスでは、野鳥への餌やりやハリネズミの越冬支援など、家庭レベルでの動物との共生がごく当たり前に行われてきました。
とくにガーデニング文化と結びついた「庭先の自然保護」は、この国ならではの特徴。大がかりな活動ではなく、日々の暮らしの延長線上で、小さな命を守る意識が育まれてきたのです。


動物への紳士的なまなざし

イギリスは、動物福祉の意識が非常に高い国としても知られています。1824年に設立されたRSPCA(動物虐待防止協会)は、世界最古の動物保護団体とされ、長い歴史を持っています。
動物を「利用する存在」ではなく、「守るべき存在」として尊重する姿勢が、法律や社会意識のなかに深く根づいている──それもまた、イギリスの動物文化を語るうえで欠かせないポイントです。


イギリスに暮らす有名な動物

それでは、イギリスの自然と文化を象徴するような、代表的な動物たちを見ていきましょう。
人の暮らしのすぐそばで生き、風景や物語の一部になってきた存在ばかりです。


イギリスの動物たちは、野生でありながら「日常の登場人物」として親しまれてきました。


トウブハイイロリス

トウブハイイロリス


もともとは北アメリカ原産ですが、現在のイギリスではすっかりおなじみの存在です。都市部の公園や住宅地の庭にも姿を現し、人に慣れた個体の中には、手からナッツを受け取るほど近い距離感のものもいます。
その一方で、在来種であるアカリスの生息域を圧迫していることでも知られ、生態系との向き合い方が問われる存在でもあります。


アカギツネ

アカギツネ


赤茶色の毛並みをもつアカギツネは、イギリスの原風景を語るうえで欠かせない動物です。
田園地帯だけでなくロンドンの市街地にも適応しており、夜になるとゴミ箱の周辺を歩く姿が見られることも。人間社会のすぐ隣で生きる、そのたくましさが印象的ですね。


ヨーロッパアナグマ

ヨーロッパアナグマ


がっしりとした体つきと、白黒の顔の模様が特徴的な中型哺乳類です。夜行性のため人目につくことは少ないものの、農村部の林縁や草地では安定して生息しています。
イギリスの民話や言い伝えの中では、アナグマはどこか神秘的で知恵のある存在として描かれることが多く、文化的にも深い位置づけを持っています。


コマドリ

コマドリ


胸元の赤い羽が目を引く小鳥で、クリスマスカードの定番モチーフとしても有名です。
春の訪れを告げる鳥として古くから親しまれ、イギリスでは国鳥にも指定されています。「小さな友だち」と呼ばれることもあり、人々の感情と強く結びついた存在です。


ナミハリネズミ

ナミハリネズミ


夜の庭先で、がさごそと音を立てる小さな住人。それがナミハリネズミです。
昆虫を食べてくれることから「庭の守り人」として親しまれ、近年ではフェンスにハリネズミ用の通り道を設ける家庭も増えています。野生動物との距離が近い、イギリスらしい光景のひとつですね。


以上のように、イギリスに暮らす動物たちは、ただ自然の中にいる存在というわけではありません。文学や歴史、日々の暮らしと結びつきながら、人々の意識の中にしっかり根を張ってきました。庭先に現れる小さな動物も、物語に登場する象徴的な存在も、どちらもこの国の文化を形づくる大切な一部なんです。


動物たちの姿を追うことは、イギリスという国の内側をのぞき込むことでもあります。


彼らがどこで生き、どう扱われ、どんなふうに語られてきたのか──そこに目を向けると、観光地や歴史年表だけでは見えてこないこの国の「本当の風景」が、少しずつ浮かび上がってくるのかもしれませんね。