大航海時代の先駆けをなしたスペインは、移民受け入れ国としてより、移民輸出国としての歴史のほうがはるかに長いです。ラテンアメリカにおいてスペイン文化が圧倒的に優越しているのは、コロンブスがこの地を「発見」した15世紀から、何百年にもおよぶスペイン人支配を経験し、同時にスペインからの移住が進行したためです。
また近代以降のスペインは慢性的な不況に悩まされており、産業革命で近代化を遂げたイギリスやドイツ、フランスなど先進諸国への移民が加速したのです。フランコ独裁政権の時代にも、その圧政に耐えかねて大勢の人が海外に移住しました。
そんなスペインですが、21世紀に入り、足りない労働力を補うために移民受け入れを急速に推進するようになり、今や外国人の人口は500万人(総人口の1割)を超える世界屈指の移民受け入れ大国となっています。
他の多くの移民受け入れ国と同様、不況にともない移民に対する反発は増加しています。アフリカ大陸北端のセウタは、スペインへの玄関口となっており、2021年にはモロッコから海を泳ぐなどして8000人近い前代未聞の規模の移民が殺到しました。スペイン当局はこれをモロッコ側が不法越境に対する警備を意図的に緩めたと批判しています
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