神聖ローマ帝国はドイツにあるのになぜローマ?

神聖ローマ帝国の領土はドイツだったのに、なぜローマという名前がつけられているのですか?

神聖ローマ帝国の前身は、フランク王国がウェルダン条約により分裂したことで成立した東フランク王国です。

 

この東フランク王国の王オットーが、ローマ教皇ヨハネス12世から冠を授けられ、「古代ローマ帝国の継承者」として認められたため、962年以降「ローマ帝国」と名乗るようになりました。(“神聖”という形容詞が付加されるようになるのは13世紀以降)

 

ただ神聖ローマ皇帝の直接的な影響がおよんでいたのはドイツ周辺に限られ、歴代皇帝もドイツ系ばかりだったので、「ローマ帝国」とは名ばかりで実体はともなっていませんでした。

 

神聖ローマ帝国がドイツをないがしろにしてでもイタリア政策に傾倒したのは、いくら「ローマ帝国の後継者」を自称していても、永遠の都ローマなきローマなど「まがいもの」に過ぎないことを自覚していたからなのです。

 

神聖ローマ帝国の国号を「神聖でもなければローマでもなく帝国でもない」と皮肉ったフランスの哲学者ヴォルテール