セクストス・エンペイリコスとは何をした人?〜観察や経験的判断を重視〜

 

セクストス・エンペイリコスの基本情報

 

思想:ピュロン的懐疑論
誕生:2世紀
死没:3世紀
著作:『ピュロン主義哲学の概要』『数学者に対して』

 

セクストス・エンペイリコス(2世紀〜3世紀頃)はローマ帝政期におけるギリシアの医者で、観察や経験的判断を重視し、近代医学の基礎形成に貢献した人物として知られます。彼の「エンペイリコス=the Empirical=経験的」という名前も彼自身の医療信念に由来しています。また彼は懐疑主義を主張した「哲学者」でもあり、「あらゆる信念について正しいとか間違っているなどの判断をすることはやめるべきだ」という『ピュロン的懐疑論』と呼ばれる考えを持っていました。

 

セクストス・エンペイリコスの思想

セクストスは懐疑主義で知られる哲学者でもあります。特に彼の立場は、あらゆる物事について真であるとか偽であるとか、判断することは控えるべきだとするピュロン的懐疑論と呼ばれています。彼は、信念にもとづく判断を停止することで、アタラクシア(心の平安)を得ることが出来る、信念がなくても、習慣にしたがって生きることもできる、と考えたのです。その立場から書いた著書『ピュロン主義概説』は、ルネサンス期にジュネーヴで出版されて以来、懐疑主義研究およびギリシア哲学研究にとって重要な史料とされています。