ヘレニズム時代

ヘブライズムとヘレニズム―――これらの勢力の二点間をわれわれの世界は動いている。世界は、ある時期においてはそれらの一方の引力を、他の時期においては他方の引力を、より強く感じる。そうして世界は、両者の間で均等に軽重なく平衡せられるべきものである。現実において決してそうなってはいないけれども。

 

イギリス詩人 マシュー・アーノルド(1822〜1888年)

 

ヨーロッパ史のうち、マケドニア王国・アレクサンドロス大王の東方遠征により、古代ギリシャ文化が小アジア、エジプト、シリアと、東方の広大な領域に広がりを見せた時代をヘレニズム時代と呼びます。ヘレニズム時代は、マケドニア王国が台頭する前4世紀頃から、古代ローマが地中海世界全域を征服する前1世紀末まで続きました。

 

なお「ヘレニズム(ギリシア風の文化性)」という思想は、「ヘブライズム(ユダヤ風の文化性)」と並んで、ヨーロッパをヨーロッパたらしめる精神的支柱の一つといえるので、ヨーロッパを理解する上で重要な概念として覚えておきましょう。

 

ヘレニズム時代が始まるまで

1.マケドニア王国の覇権確立

前4世紀古代ギリシャは衰退期に入っていました。古代ギリシャポリス間の対立が激化し、すっかり疲弊してしまっていたのです。一方で同時期古代ギリシャ北方のマケドニア王国が国力を伸ばし、古代ギリシャ世界の覇権確立に動き出します。

 

アテナイ・テーバイなど古代ギリシャ有力ポリスはこれに抵抗したものの、やはり戦争続きで落ち目な状態だったので、飛ぶ鳥を落とす勢いのマケドニアの前に屈してしまいました。古代ギリシャ世界はアレクサンドロス大王率いるマケドニアの勢力圏に組み込まれたのです。

 

2.オリエント文化圏の征服

古代ギリシャという盤石の拠点を手に入れたマケドニアは、今度は小アジア、エジプト、シリアといった東方のオリエント文化圏に狙いをつけ勢力圏を広げていきました。最終的にその領域はインドの西端にまで及びました。征服地各地に古代ギリシャ植民都市も建設され、これによりギリシャ文化が一挙に広がりをみせたのです。

 

3.オリエント文化とギリシャ文化の融合

古代ギリシャ都市を拠点に古代ギリシャ文化がオリエント文化圏に浸透し、その結果オリエント文化と古代ギリシャ文化が融合しました。その結果生まれたのがヘレニズム文化です。エジプトでも古代ギリシャ語が公用語として使われるなど、あらゆることがギリシャ文化中心になっていったのです。

 

 

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