スペイン風邪の流行は第一次世界大戦末期の3月から始まっています。最初の症例はアメリカ・カンザス州の陸軍基地で確認されており、派兵されたアメリカ軍兵士によりヨーロッパにもたらされ、全土に拡大していきました。
そしてアジアやアフリカにまで流行は拡大し、終息するまでに5億人が感染、その10分の1にあたる5000万人の死者が出たといわれています。これは戦争による死者の5倍にも相当します。
このように未曾有の感染被害を受けて各国の士気はみるみる低下し、とりわけドイツの政権転覆と降伏に繋がったことで、災厄が結果的に戦争という災厄の終結を早めたともいわれています。
ちなみにアメリカからもたらされたウイルスがなぜ「スペイン風邪」と呼ばれているのかというと、参戦国は敵に弱みを見せないために蔓延状況を機密扱いしたのに対し、中立国スペインの蔓延状況は普通に報じられていたためです。
第一次世界大戦中にスペイン風邪で亡くなったオーストリアの画家エゴン・シーレによる作品。同じくスペイン風邪で亡くなった妻の死後に描かれた。
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