ホメロスとは何をした人?~『イリアス』『オデュッセイア』の執筆~

ホメロスとは

ホメロスは紀元前8世紀頃の古代ギリシアの詩人であり口承文学の継承者であった。『イリアス』と『オデュッセイア』をまとめた叙事詩人として知られる。本ページでは、このあたりのバックグラウンドと後世への影響について詳しく掘り下げていく。

ホメロスとは何をした人?~『イリアス』『オデュッセイア』の執筆~


ホメロスの基本情報

 

生年:前8世紀
没年:没年不詳
出身:小アジア
死没地:イオス島
別名:「詩人」
功績:古代ギリシア最古の叙事詩『イリアス』『オデュッセイア』の執筆


ホメロス(前8世紀~没年不詳)は古代ギリシアの吟遊詩人で、ヨーロッパ最古の文学作品『イリアス』『オデュッセイア』の作者として知られる人物です。前8世紀頃の人物で、ホメロスの出身地や生涯など詳しいことはよくわかっておらず、数編伝わる伝記が唯一の手がかりになっています。伝承によれば、ホメロスは小アジアに生まれ、キクラデス諸島のイオス島で没した人物で、盲目であったともいわれています。なお彼の書いた2作品は、ミケーネ時代からの伝承を記しており、ポリス時代以前のギリシャ人の生活を知る重要な手がかりにもなっています。



ホメロスの偉業・功績

ホメロス最大の功績は、西洋文学最古の作品『イーリアス』と『オデュッセイア』を残し、叙事詩というジャンルを確立したことと言えるでしょう。彼の残した作品は民話風物語であり、史料的な価値は薄いものの、ミケーネ文明時代のギリシア人の生活を伺いしることができるという点で貴重です。


また彼の二大叙事詩は古代ギリシア民族の教養・宗教・思想・文化の柱となり、ヘレニズム時代やローマ時代を経て、中世から近世にいたるまで後世に強い影響を残しました。そのためホメロスは「西洋文学の父」と称される権威を手にしているのです。


ホメロスは実在したのか

『イリアス』『オデュッセイア』の作者ホメロスは、西洋文学の始祖として最も高名な詩人です。しかし紀元前8世紀に生きたと考えられていますが、詳しい生没年は不明。その生涯も人となりもほとんどわかっていないことから、実在性については疑問を投げかける声もあります。


他にホメロスという名を持つ人物が、ヘレニズム時代以前には一切確認できないこともあり、ホメロスは創作上の人物であり、代表的な2つの叙事詩も別の作者によるものの可能性も有力なのです。


他にも、ホメロスは紀元前6世紀にアテナイの学識者により創作された、『イリアス』『オデュッセイア』はあくまで古代ギリシア人が先祖代々語り継いだ伝承を紡いだ「ギリシア人全体による作品」である、などとも言われています。


ホメロスが実在したにせよ、創作上の人物であるにせよ、彼が古代ギリシアの文化や教養、宗教観に多大な影響を与えたのは確かであり、ヨーロッパは古代ギリシアに源流を持つことから、ホメロスは「西洋文学の父」として崇敬の対象となっているのです。