カルル・フリードリッヒ・シンケル画『ウーラノスと踊る星々』(1834年)
「空と大地が対になっている」という考え方は、ヨーロッパの諸民族によくみられる考え方であり、実際ギリシア神話にも「天と大地の神」が存在しています。
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ギリシア神話の天空神ウラノスは、神々の王であり、全宇宙の支配者です。「ウラノス」とはギリシャ語で「天」を意味し、天そのものを神格化した存在だと考えられています。そのような重要な存在でありながら、後述のエピソードから、古代ギリシアではあまり崇敬の対象ではありませんでした。
ウラノスは大地の神ガイアとの間に古の巨神ティターン12神ををもうけるのですが、そのうちキュクロプスやヘカトンケイルといった異形の巨人を「醜い」と嫌い、タルタロスという奈落に幽閉してしまいます。
その行動に怒ったガイアは、末子のクロノスに命じ、ウラノスの男性器を切り落としてしまいました。その時に飛び散った血からまた数々の巨人や女神が生まれるのですが、実の子供を非常にも幽閉した上、その復讐として実の子供に去勢されてしまうという、なんとも痛々しいエピソードがあるのです。
ギリシア神話の世界観では「天はもともと暗いもの」であり、天空に広がる大気の神アイテルのところに、昼の女神ヘメラがいることで、天は明るくなるとされています。逆に夜が暗いのは、ウラノスが大地の神ガイアと交わるために、夜の女神ニュクスを連れてガイアに近付くためだ、と考えられているのです。
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