イタリア南部や離島には地域性が色濃く反映された伝統的な民族衣装がたくさんあります。しかし中でも有名なのは、イタリア南西部に位置する、シチリア島に次ぐ第二の島、サルディーニャ島に伝わる民族衣装です。
主に同島最大のお祭り『聖エフィジオ祭』で着られるものですが、今やローマやフィレンツェなど本島のお祭りでも着られるため、事実上イタリアの民族衣装として定着しています。
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サルデーニャ島の民族衣装
サルデーニャの民族衣装は、地域ごとに細かい違いがあり、女性用と男性用でそれぞれ異なる魅力があります。
女性の民族衣装は、カラフルで装飾豊かなアイテムで構成されています。頭にはスカーフやベールを着用し、ブラウスには精緻な刺繍が施されています。色鮮やかなスカートとエプロンも特徴的で、アクセサリーも華やかです。これらのかぶり物は、強い日差しや風から身を守るだけでなく、伝統的には女性の貞節を象徴し、肌や髪を隠す目的もありました。衣装のデザインは町ごとに微妙に異なり、地域の個性を反映しています。
男性の衣装は、白いシャツの上に布や革製の黒いベストを着用し、独特のベリッタ(berritta)という帽子を被るのが一般的です。また、ズボンの上に黒いスカートを着用するというユニークなスタイルも見られます。これらの装いは、サルデーニャの素朴で力強い生活様式を象徴しています。
サルデーニャの民族衣装は、島全体で共通する要素が多いものの、細部においては各町の文化や歴史が反映されており、聖エフィジオ祭の際にはその多様なバリエーションが一堂に会して展示されるのです。
2017年に行なわれた聖エフィジオ祭の様子。女性の民族衣装に注目
聖エフィジオ祭は、サルデーニャ島の州都カリアリで毎年5月1日に開催される、イタリア最大規模の祭りです。カリアリから聖エフィジオが殉教した地であるノーラまで、伝統的な衣装を身にまとった参加者たちが豪華な山車とともに巡礼を行います。この祭りは、サルデーニャの文化と歴史を象徴するイベントとなっています。
17世紀、サルデーニャ島はカタルーニャから持ち込まれたペストの大流行に見舞われ、カリアリでは人口の約半分が犠牲となりました。この悲劇に直面した島民たちは、守護聖人である聖エフィジオに救済を祈り、ペストを克服したならば永遠に感謝を捧げると誓いました。奇跡的にペストが終息した後、1657年からこの誓いを守るために、島民は毎年この祭りを開催し続けているのです。
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