イタリアの民族衣装の特徴

イタリア南部や離島には地域性が色濃く反映された伝統的な民族衣装がたくさんあります。しかし中でも有名なのは、イタリア南西部に位置する、シチリア島に次ぐ第二の島、サルディーニャ島に伝わる民族衣装です。

 

主に同島最大のお祭り『聖エフィジオ祭』で着られるものですが、今やローマやフィレンツェなど本島のお祭りでも着られるため、事実上イタリアの民族衣装として定着しています。

 

 

サルディーニャの民俗衣装の特徴

女性衣装

女性衣装は、スカーフ、ベールなどのかぶり物、芸術的な刺繍で飾られたブラウス、色とりどりのスカート、エプロン、きらびやかな装飾などが合わさり、鮮やかで壮観な印象を放っています。

 

女性衣装に共通する特徴的なかぶり物は、サルデーニャ島特有の強い日差しや風を防ぐ実用的な役割と同時に、もともとは女性の貞節を守るため、肌や髪を見せないようにするという目的もありました。

 

男性衣装

男性衣装は、白シャツの上に黒基調のベスト(布もしくは革製)を着て、ベリッタ(berritta)と呼ばれる帽子を被ります。またボトムスにおいては、大きめのズボンの上に、黒のスカートを着用するのが特徴的です。

 

サルデーニャ民俗衣装のデザインは大部分で共通していますが、細かい部分は町ごとに異なります。そのため島中の人々が集結する聖エフィジオ祭の際には、実に様々なバリエーションの衣装を拝むことができます。

 

聖エフィジオ祭ってどんな祭り?

聖エフィジオ祭はサルデーニャ島の州都カリアリで、毎年5月1日に行なわれるイタリア最大規模のお祭りです。カリアリから聖エフィジオ殉教の地ノーラまで、きらびやかな衣装を身にまとった人々が、豪華な装飾で飾られた山車とともに、巡礼を行ないます。

 

歴史

17世紀、カタルーニャの商人の持ち込みによりサルデーニャ島でペストの大流行が始まり、州都カリアリでは人口の半分にあたる1万人もの犠牲者が発生しました。

 

そこで島民は救済を求めて、カリアリの守護聖人である聖エフィジオに祈り、ペストを打ち負かしてくれれば、永遠に感謝を捧げることを誓いました。

 

その後無事ペストが終息し、それ以来聖エフィジオとの誓約を護るため、感謝を忘れぬために、1657年から350年以上の長きにわたって、この祭事を欠かさず行なうようになったのです。

 


2017年に行なわれた聖エフィジオ祭の様子。女性の民族衣装に注目