オランダ文学とは、オランダ語により書かれた文学の総称と定義することができます。12世紀から13世紀にかけて、オランダ、つまりネーデルラント地方の文学に固有の特徴がみられるようになり、西欧諸国の中でもとりわけフランスの影響を受けながら独自の発展を遂げてきました。そしてオランダが海上帝国を築き世界中に影響を持っていた17世紀には、とくに大きな文学の発展が起こっています。
オランダ文学の簡易年表
12世紀
フランス文化の影響をじかに受けたネーデルラントのフランドル地方に、オランダ語韻文による作品が登場。ここからオランダ独自の文学的特徴が現れはじめる。
13世紀
ルースブルック(1293~1381)や女性詩人ハーデウィヒ(1200頃~1269頃)の登場。
17世紀
オランダが海上交易により世界に覇権を確立し、黄金時代を迎える。これと同時にオランダ文学も急激な発展を遂げていくこととなる。
19世紀
ベーツがオランダ市民の日常を風刺とユーモアを交えて書いた『カメラ・オブスキュラ(暗箱)』(1839)を書く。この作品はオランダ写実主義文学の先駆けとなった。
20世紀
ナチスドイツの占領から開放された安心感や新しい時代への期待から、伝統的詩風の変革を目的とした新詩風運動が巻き起こる。ルチベール(1924~1995)やカムペルト(1929~2022)が運動の中心となった。
オランダ文学の有名作品一覧
- 『狐のレイナルーデの話』(1250頃)
- 『エルケルック』(1500頃)
- 『カメラ・オブスキュラ(暗箱)』(1839)
- 『マックス・ハーフェラール』(1860)
- 『秘める力』(1900)
- 『エリーネ・フェーレ』(1889)
- 『宵』(1947)
- 『チャペルへの道』(1953)
- 『ダモクレスの暗室』(1958)
- 『孤独の冒険』(1948)
- 『花嫁の石の寝床』(1959)
- 『フィリップと仲間たち』(1955)
- 『騎士は死んだ』(1963)
- 『メッシエル家の人々』(1950)
- 『噂(うわさ)』(1996)
- 『暗殺』(1982)
- 『時熟す』(1985)
- 『天国の発見』(1992)
- 『月曜日はいつもブルー』(1994)