
フィンランドの国土
フィンランドといえば「森と湖の国」としておなじみですが、その自然はただ美しいだけじゃありません。バルト海に面した低地、氷河が刻んだ起伏、そして北極圏にまで広がる広大な国土──これらが人々の暮らし方や文化、経済のあり方にも大きく影響してきました。今回は、そんなフィンランドの地理的特徴を「地形」「気候」「環境」という3つの視点から、わかりやすくかみ砕いて紹介していきます。
氷河が削り上げた大地と無数の湖。それがフィンランドの大地を形づくっています。
国土のほとんどが低地〜丘陵地で占められ、山らしい山はほとんど存在しません。国内最高地点のハルティ山(1,324m)ですら、スカンディナヴィアの他国と比べるとかなり控えめ。そのため氷河時代に削られた地形が広く残っていて、岩がちな土壌と浅い湖があちこちに点在しています。
18万以上の湖が国土に散らばっていて、湖の密度は世界屈指。なかでもサイマー湖は最大級で、複雑に入り組んだ水路が内陸の水上交通や観光資源としても活用されています。氷河期の名残が生んだこの湖群が、フィンランドの自然を象徴しているんですね。
高緯度にあるわりに、「思ったほど寒くない」──そんな意外な一面もあるのがフィンランドの気候。
基本的には亜寒帯湿潤気候(Dfb)に分類され、冬は厳しく長く、夏は短くても快適。とくに11月から4月までは積雪がある地域が多く、ヘルシンキでも−10℃以下になる日があります。ただし北大西洋海流の影響で、同緯度のシベリアなどに比べれば温暖なんです。
北部ラップランド地方では、夏は太陽が沈まない「白夜」、冬は日が昇らない「極夜」が見られます。こうした極端な太陽のサイクルは、生活リズムや文化にも大きな影響を与えてきました。
自然との共生を体現する国、それがフィンランド。森林と水をどう活かしてきたのかを見てみましょう。
国土の約75%が森林という、世界でも有数の森林大国。この森林を活かして紙・パルプ産業が発展し、同時に持続可能な森林経営のモデルとしても注目されています。ベリー摘みやキノコ狩りなど、森と共にある日常も文化の一部です。
湖や川の多さを利用した水力発電、バイオマスなどの再生可能エネルギーが重視されていて、自然と共にあるエネルギー政策が進んでいます。また、ラップランドの原生自然や多くの国立公園は、エコツーリズムの人気スポットにもなっています。
このようにフィンランドは、氷河と森と湖に育まれた地形の国。その自然の中で人々が培ってきた暮らしと文化は、まさに地理と環境の力が生んだ賜物なんです。
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