大航海時代のスペイン植民地とは?

 

大航海時代の先駆者スペイン王国による植民地建設は1492年より開始されました。これはレコンキスタ(再征服)によりイベリア半島からイスラム勢力を一掃し、太平洋横断によりコロンブスがアメリカ大陸に到達した年です。

 

以来スペインはアメリカ植民地から富を搾取することで、国力を伸ばしていき、16世紀末にはポルトガルを併合。同国がアジアにもっていた植民地まで勢力圏に組み込み、「太陽の沈まぬ国」と称される広大な世界帝国を築き上げたのです。

 

 

ラテンアメリカ

クリストファー・コロンブスにより「発見」されて以降、スペインによる植民が進み、1521年にはアステカ王国を、1532年にはインカ帝国を滅ぼし、16世紀中にほぼ全土を支配下に置いています。

 

メキシコ

エルナン・コルテスによるアステカ帝国の征服後、メキシコはスペイン領「ヌエバ・エスパーニャ」として支配されました。メキシコの豊かな鉱山資源、特に銀鉱山はスペインの財政を支える重要な役割を果たしました。ポトシ銀山やグアナファトの鉱山は、スペインに莫大な富をもたらし、スペインの黄金時代を支える柱となりました。また、メキシコは文化的にも重要な中心地となり、建築、芸術、教育など多方面での発展が見られました。

 

ペルー

フランシスコ・ピサロによるインカ帝国の征服後、ペルーはスペイン領となり、リマが副王領の首都として設立されました。ペルーの鉱山、特にポトシの銀鉱山はスペインに莫大な富をもたらしました。ペルーは南米大陸におけるスペインの主要拠点として、経済的にも文化的にも繁栄しました。鉱山での過酷な労働に従事させられた先住民やアフリカからの奴隷は、多くの苦難を経験しました。

 

その他の地域

スペインはカリブ海の多くの島々、中南米の広範囲を支配しました。これらの地域では、プランテーションでの労働力として先住民やアフリカから連れてこられた奴隷が酷使されました。キューバ、ドミニカ共和国、プエルトリコなどは、サトウキビやタバコのプランテーションが栄え、これらの産品はヨーロッパに輸出されました。これらの植民地は、スペイン帝国の経済基盤を強化する上で重要な役割を果たしました。

 

アジア・アフリカ

1580年、スペインのフェリペ2世がポルトガル王位を継承することで、ポルトガルの国土はスペインに併合される形となり、ポルトガルが持っていたアジア・アフリカなどの海外植民地も全てスペイン領に組み込まれました。

 

フィリピン

フィリピンはスペインのアジアにおける主要植民地で、1565年にマニラが建設されました。フィリピンはアジアとアメリカ大陸を結ぶ重要な交易拠点となり、特にメキシコとの間で行われたガレオン貿易が盛んでした。この貿易により、中国の絹や陶磁器、アメリカの銀などが取引され、フィリピンは繁栄しました。また、スペインはフィリピンをキリスト教化し、今日までその影響が残っています。

 

セネガル

セネガルは西アフリカの一部であり、スペインやポルトガルなどのヨーロッパ列強が奴隷貿易の拠点として利用しました。ゴレ島は奴隷貿易の主要な拠点となり、多くのアフリカ人がここから新世界に送られました。奴隷貿易はセネガルの社会と経済に大きな影響を与え、地域社会の構造を変化させました。また、セネガルの港は交易の中継地としても重要な役割を果たし、ヨーロッパの商品とアフリカの資源がここで交換されました。

 

アンゴラ

アンゴラは南西アフリカに位置し、ポルトガルの主要な植民地の一つとなりました。スペイン併合後も引き続きスペインの影響下に置かれました。アンゴラは奴隷貿易の中心地として重要で、多くの奴隷がここからアメリカ大陸へと輸出されました。アンゴラの奴隷貿易は地域の経済に深刻な影響を及ぼし、現地の社会構造を大きく変えました。また、アンゴラの鉱物資源や農産物もヨーロッパ市場に供給され、植民地経済を支えました。

 

南イタリア

スペイン王国は建国(1479年)からユトレヒト条約締結(1713年)までは、南イタリアにもシチリア王国やナポリ王国といった植民地(属領)を有していました。これらの地域は地中海交易の要所として、またスペインの軍事・経済戦略上重要な役割を果たしました。

 

シチリア

シチリアは、地中海の要所としてスペインにとって非常に重要な領土でした。シチリア島は、地中海貿易の中心地であり、軍事的にも戦略的な位置にありました。スペインはシチリアを支配することで、地中海全体に対する影響力を強化し、東地中海におけるイスラム勢力との対立でも有利な立場を築きました。

 

ナポリ

ナポリ王国は、豊かな農業地帯であり、また文化的にも重要な地域でした。スペインはナポリを支配することで、イタリア半島全体に対する影響力を強化しました。ナポリは芸術と文化の中心地としても栄え、バロック建築や絵画が発展しました。また、ナポリの農産物や工芸品はスペイン帝国全体の経済にも寄与しました。

 

スペインの植民地政策は、ヨーロッパの覇権を確立するための重要な戦略であり、同時に先住民の文化や社会を破壊し、多くの苦難をもたらしました。しかし、この植民地政策によってスペインは莫大な富を得て、一時期「太陽の沈まぬ国」として世界に君臨しました。この歴史は、現代におけるラテンアメリカやフィリピンの文化、言語、宗教などに深い影響を与え続けています。