封建制というのは、封建領主(諸侯、地方領主)が君主に権限を認められ、地方を統治する社会体制のことです。君主の呼びかけに応じることと引き換えに、君主からの保護を得られるという、ウィンウィンの契約関係が基礎にあります。
フランス国王ジャン2世(君主)から叙任を受ける騎士(封建領主)
そして封建領主の権力基盤も、農民に土地を提供し働いてもらうのと引き換えに、農民の身の安全保護するという、似たような契約関係(荘園制)の上にあります。
この前提を理解しておけば、十字軍の遠征により
という社会情勢の変化が起こり、封建制の崩壊に繋がったのだとわかると思います。
十字軍遠征きっかけで地中海の海路が開かれ、東方貿易が活発になりました。ヨーロッパに商業的繁栄が訪れると、ローマ帝国崩壊以後廃れていた貨幣経済が復活します。
すると商業的に成功し富を築いた農民が封建領主から独立するようになり、世襲で権力を引き継いできた封建領主の立場は弱まっていくのですね。
十字軍は第一回遠征を除いてはほとんどが負け戦であり、十字軍遠征のための莫大な出費で財政難に陥るなど、遠征を呼びかけた教皇や封建領主は信用をなくしていきました。
封建領主は相対的に伸長した王権の下に組み込まれていくこととなり、社会は主権国家体制へと移行していったのです。
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