イタリア人

イタリア人の特徴

 

『ヨーロッパ史入門|民族編』、このカテゴリーではイタリア人についての情報を紹介しています。イタリアは古代ローマの故郷であり、その豊かな歴史と文化遺産は、イタリア人の国民性に深く影響を与えています。ローマ帝国の遺産、ルネサンスの興隆、そして現代のイタリア共和国の形成といった歴史的な要素が、イタリア人の特性を形成する上で大きな役割を果たしています。

 

 

 

定義

イタリア人」という言葉には2通りの解釈があります。1つは単に「イタリア国籍を所有する者」のことで、話す言語や民族的アイデンティティはイタリア人である為の必要要件ではありません。そしてもう1つは「イタリア語を母語とし、イタリア民族であることをアイデンティティとしている者」のことで、国籍の所持は必ずしも必要要件ではありません。

 

国民性

家族を大切にする

イタリア人にとって家族は極めて重要で、その中心的な価値観を形成しています。大切な家族の一員としての役割を果たすことが求められ、家族間で深い絆と愛情が共有されます。

 

食事の重視

イタリア人は食事を重視します。特に、自家製の料理と地元の食材への愛着は強く、食事は家族や友人との時間を共有する重要な機会とされています。

 

感情表現の豊かさ

イタリア人は感情を表現することにためらいがなく、親しみやすさと情熱性を持つとされています。ジェスチャーを豊かに使い、自身の感情を率直に表すことで、コミュニケーションを活発にします。

 

美術と音楽への愛着

ルネサンスの発祥地であるイタリアは、美術と音楽に対する深い愛着と尊敬を持っています。このため、美術や音楽はイタリア人の生活の一部となっており、多くのイタリア人がそれらを楽しんでいます。

 

ルーツ

イタリア人とはイタリア語を母語とする、主にイタリア半島に分布する民族のことで、かつて地中海世界を統一し、ローマ帝国の繁栄によりヨーロッパ世界の原型を作った古代ローマ人を祖先としています。

 

西ローマ帝国滅亡後は、ゲルマン民族侵入の混乱を経て、小国分立時代に突入します。フランスオーストリアなど周囲の大国のイタリアを巡る覇権争い(イタリア戦争)や、イタリア都市国家同士の抗争により、イタリア民族による単一国家の形成は大幅に遅れることとなりました。

 

 

 

イタリア統一運動

イタリア民族による統一国家の樹立の気運が高まったのは、フランス革命ナポレオン戦争を経た1815年以降のことで、カルボナリ、青年イタリアなどの秘密結社主導で独立運動が展開されるようになりました。

 

1848年以降はウィーン体制の崩壊をうけ、イタリア統一運動もいよいよ本格化し、1861年にはガリバルディ率いる千人隊(赤シャツ隊)の活躍もあり、イタリア半島全土の統一が実現。古代ローマ時代以来のイタリア統一国家イタリア王国が建設されたのです。

 

歴史

古代

古代イタリア半島には、ローマ人、ラテン人、イタリック人、ギリシア人、エトルリア人、ガリア人、サルデーニャ人など様々な民族が並存していましたが、中でも最も有力だったローマ人が、他の民族を次々と服属させていき、前272年にはイタリア半島全土を征服。この古代ローマ人の繁栄により、ラテン文字・ローマ神話キリスト教などを土台とするイタリア文化の基礎が形成されたため、古代ローマ人はイタリア人の最も古い祖先といえます。

 

中世

西ローマ帝国崩壊後、イタリア半島には多方面から異民族が流入し、この地は小国が分立する政治的統一に欠く地域となりました。しかしイタリアでラテン語が転訛した「イタリア語」が成立し、それが13世紀に始まる文学隆盛の時代に半島全土に浸透したことで「イタリア人」という民族的アイデンティティが形成され始めたのです。

 

近代以降

イタリア統一最大の功労者とされるジュゼッペ・ガリバルディ

 

19世紀になるとイタリア人(イタリア語などイタリア系の文化を持つ者)による、イタリア統一(イタリア人の住む土地全てを統一すること)を目的とした社会運動が活発になります。1861年にはついに統一国家イタリア王国を成立させ、第一次世界大戦ファシズム独裁などの苦難を経て、第二次大戦後には共和政に移行し現在に至るというわけです。