ギリシャは極めて高度な古代文明が発達し、現代文化の基礎となる思想、学問、芸術などが生まれた場所として知られています。音楽もしかりで、今日わたしたちが耳にする音楽はすべて、ギリシャで生まれたものの上に構築されているといっても過言ではないかもしれません。ここでは、そんなギリシャの音楽の始まりについて、少しだけ紹介します。
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ギリシア神話の中で、楽器や音楽は重要な役割を果たしていました。たとえば神話の中には音楽を奏でて国をつくったり、野生動物を従えたり、高位神の怒りをなだめたり、戦いに勝ったりする場面が出てきます。英単語のMUSICの語源も、ギリシア神話に登場する女神ムーサ(ミューズ)の名に由来していますし、多くの著名な作曲家がギリシア神話を題材に曲を書くようにもなりました。
リュートをはじめ、三味線の原型となったと思われるリラという竪琴、のちの時代のヨーロッパで欠かせない楽器となったパイプオルガンの原型のパンフルートという葦笛などの楽器も登場します。その影響を受けて、ギリシャの人々の生活の中でも、さまざまな場面で音楽が奏でられていました。
紀元前6世紀にピタゴラスは、宇宙の構成について考察するために音楽を研究する中で、いわゆる「ドレミファソラシド」を初めて定義しました。
彼は娯楽としての音楽ではなく、数学や物理学の一ジャンルとしての音楽に焦点を合わせていて、「数学的に美しい音楽」を最上の音楽と位置付けていました。彼の定義した「ピタゴラス音律」は、合唱音楽などで用いられてきた「純正律」の理論につながりました。
紀元前4世紀ごろにはこの考え方と対立して、アリストクセノスなどを中心に「耳で聞いて楽しい音楽」を広めようとする動きがみられるようになります。これが後にバッハが完成させた「平均律」の理論に発展し、今日のほとんどすべての音楽につながっているのです。
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