室町時代の後期、1541年に豊後国に、1543年に種子島にポルトガル船が漂着したことがきっかけで、ポルトガルー日本間の貿易、いわゆる南蛮貿易が始まりました。その中で、様々なポルトガル起源の日本料理が生まれましたが、実は「和食の中の和食」というイメージすらある天ぷらもその一つです。
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天ぷらの元になったのは、ポルトガルで現在も食べられている、味のついた衣を使った揚げ物「フィレッテ」です。南蛮貿易の中で長崎に伝わり、天ぷらのルーツになりました。
現在も、長崎の天ぷらは小麦粉、水、卵黄、砂糖、塩、しょう油などで味付けした衣を使っています。甘くて柔らかい味付きの「長崎天ぷら」は冷めてもおいしく、郷土の味として親しまれています。
天ぷらの語源には諸説ありますが、有力とされているのがポルトガル語の「temporas(テンポーラ)」が語源という説です。
「temporas(テンポーラ)」とは「四季に行う斎日」という意味で、3月、6月、9月、12月の最初の水曜日から土曜日のことを示しています。キリスト教徒はこの期間、キリストの受難をしのび、肉食(豚・牛・鶏など)を一切断ち、魚と野菜だけを食します。
そして「テンポ―ラ」に魚のフリッターを食べる宣教師を見た日本人が、その料理を「テンプラ」と呼ぶようになった・・・といわれているのです。
他にも調味料を意味する「tempero(テンペロ)」、調味する・混ぜ合わせるという動詞「temerar(テンペラル)」、寺院や教会を意味する「templo(テンプロ)」など、語源については諸説あります。
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