アナーニ事件と教皇のバビロン捕囚の違いと関係

「アナーニ事件」と「教皇のバビロン捕囚」の違いって何ですか?

アナーニ事件というのは、聖職者への課税権をめぐり教皇と対立したフィリップ4世が、1303年に使者を使って教皇を監禁・暴行した事件です。

 

対して教皇のバビロン捕囚というのはアヴィニョン捕囚のことで、教皇がローマから南フランスのアヴィニョンに拠点を移し、フランス国王の支配下に入っていた1309年〜1377年にかけての時代のことです。

 

1305年から1314年にかけて教皇を務めたクレメンス5世。彼の治世から教皇庁がアヴィニョンに移転したことで、アヴィニョン捕囚の時代に入った。

 

これらは別の事件ですが、「アナーニ事件」で教皇の権威が著しく低下し、教皇が国王の言いなりの状態になったことによる「アヴィニョン捕囚」なので、両者は歴史の線で繋がっています。

 

なおアナーニ事件やアヴィニョン捕囚が起きた時点ですでに、度重なる十字軍の失敗で教皇権は衰退し、代わりに十字軍で指揮を執った王権が伸長している情勢にあり、アナーニ事件やアヴィニョン捕囚は、あくまで教皇権の没落を象徴する事件であったといえます。