ルネサンスがキリスト教におよぼした影響とは?

 

ルネサンス以前の時代は、ローマ・カトリック教会の思想は神を絶対視し、人を罪深いものとして、世俗の欲から離れて清貧と貞潔を奨励するものでした。中世の修道院は、俗世から離れて苦行を積むための場所だったのです。

 

 

ルネサンス教皇の出現

しかしルネサンスの時代、カトリックの頂点である教皇たちはこれらの思想に反して、戦争や汚職で富を築き、贅沢品に囲まれた豪奢な生活をするようになりました。この時の教皇たちを特に「ルネサンス教皇」と呼び、カトリック史上最も聖職者たちが堕落した時代であったともいわれています。

 

トリエント公会議

1545年に開かれたトリエント公会議は、ルネサンスの影響を受けて変質しつつあったカトリック教会の在り方を見直し、聖職者たちの腐敗を食い止めるためのものでもありました。

 

芸術の振興

ルネサンスは教会の腐敗に対する反発から起こったものですが、ルネサンスという文化運動と教会が必ずしも相反していたわけではありません。というのも、ユリウス2世はじめ、有力なパトロンであった教皇によって、ミケランジェロなどすぐれた芸術家たちの活躍の場が開けたという事実もあるからです。

 

「異教」の復権

ルネサンスはカトリック教会の価値観からの脱却を目指すものでした。教会が異教のもの、異端のものとして排斥していた、ギリシア神話やイスラム圏の伝統を題材にした芸術作品も広く受け入れられるようになり、人々は新しい文化に触れることができました。

 

ルネサンス期に生まれた宗教歌や宗教画は、それまでとかなりスタイルが異なり、一般の人々にも親しみやすいものでした。

 

宗教改革

前述したカトリック教会の腐敗に対する反発と、一般の人々に理解できる言語の聖歌や聖書の出版に対する試みは、16世紀の宗教改革へとつながりました。