
ベラルーシの国土
ヨーロッパの東側に位置し、ロシア・ウクライナ・ポーランドなどに囲まれたベラルーシ。海に面していない内陸国でありながら、広大な森林と湿地帯、そして数多くの川と湖に彩られた自然豊かな国です。古くから東西をつなぐ交通の要所であり、地理的な条件が文化や歴史のかたちにも大きく関わってきました。このページでは、そんなベラルーシの地理的特徴を、3つの視点からわかりやすくかみ砕いて解説します。
ベラルーシの地形は、「平坦で広い」。でも、その中にちゃんと奥行きがあるんです。
ベラルーシは国土の大部分が標高200メートル以下のなだらかな平野で構成されています。山と呼べるような高地はほとんどなく、国内最高地点のドジャルジンスカヤ山でも標高は345メートル程度。見渡す限りの丘陵地と草原が広がる光景は、まさに「大地の国」といえるでしょう。
この広い大地は、じつは第四紀の氷河の影響を強く受けています。氷河によって削られた地形には、湖や小さな丘が点在しており、スムーズで滑らかな地表が特徴です。こうした氷河地形が、農業にも観光にも適した土台をつくっているんですね。
ベラルーシの気候は、一言でいえば「大陸性でメリハリがある」。でも、じっくり見ていくと地域差もあるんです。
全体的には温帯大陸性気候で、夏はそこそこ暑く、冬はしっかり寒い。1月の平均気温は-6℃前後、7月は18〜19℃と、季節の寒暖差がはっきりしています。雪もよく降るので、冬は白銀の風景が楽しめる国でもあるんですよ。
ポーランドやウクライナに近い西部・南部は、やや海洋性の影響を受けていて、他地域よりも冬が少しマイルドになる傾向があります。一方、ロシアに近い東部は気温が下がりやすく、寒さが一段と厳しくなることもあります。
自然が豊か、というより「手つかずの自然が多い」のがベラルーシの特徴。人の手が入りすぎていないからこその風景が広がっています。
国土の4割以上が森林で覆われていて、ヨーロッパ最大級の原生林ともいわれる「ビャウォヴィエジャの森」はその象徴。この森にはヨーロッパバイソンなど、貴重な動物も生息しています。またプリピャチ湿原のような大規模湿地も多く、自然の貯水池としての役割も果たしているんです。
ベラルーシは3つの大河川──ドニエプル川、ネマン川、西ドヴィナ川──の流域にあたっており、川の流れに恵まれた国でもあります。湖の数も約1万を超えるとされ、水資源が豊富で、ボート遊びや漁業も盛んです。
このようにベラルーシは、海こそないけれど、平原と丘、川と森が織りなす穏やかで深い自然の国。こうした地理的な背景が、人々の暮らしや文化、そして静かなるたたずまいにもつながっているのです。
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