フェルディナント２世は17世紀の神聖ローマ皇帝で、プロテスタントの弾圧により三十年戦争の戦端を切ったことで知られる人物です。厳格なカトリックとして育てられ、即位後あからさまにプロテスタントの迫害を開始。それに反発したプロテスタントが、フェルディナントの使者をプラハ城の2階の窓から突き落とすという「プラハ窓外放出事件」を起こし、この事件に端を発するチェコ全土への反乱拡大から三十年戦争が開始されたのです。この戦争はヨーロッパ全土を巻き込む大規模な国際戦になった上、しだいに宗教戦争の性格をなくし、列強同士の覇権争いに変質するなどし混沌を極めました。そして戦争長期化で国土は荒廃し、講和条約のウェストファリア条約で傘下の領邦が主権国家として事実上独立してしまったことで、「神聖ローマ皇帝」は権威のない名目だけの存在に没してしまったのです。

 

フェルディナント2世の政策

プロテスタントを弾圧

フェルディナント2世は厳格なカトリック教徒であり、1617年ボヘミア王に即位するや否やプロテスタントへの弾圧を開始しました。これが原因でプラハ窓外投擲事件が発生し、最後で最大の宗教戦争といわれる三十年戦争の引き金を引いてしまっています。

 

三十年戦争を指揮

フェルディナントは1619年に神聖ローマ皇帝として即位すると、軍司令官にヴァレンシュタイン※やティリーを任命し、三十年戦争を指揮。プロテスタント軍に対して戦いを優位に進めていきました。しかしスウェーデンの参戦を境に劣勢となり、フェルディナントは三十年戦争の結末を見る前に死亡しています。