
第二次産業革命を牽引したディーゼルエンジンの発明者ルドルフ・ディーゼル(1858 - 1913)
18世紀の「第一次産業革命」が蒸気と繊維の時代だったとすれば、19世紀後半から始まる第二次産業革命は、まさに「電気・石油・鉄鋼・化学」の時代です。そして、動力革命の中でも見逃せないのがディーゼルエンジンの登場。機械の心臓部がどう変わったのか、そしてそれが社会をどう変えていったのか──その特徴と影響を見ていきましょう。
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産業をガラリと塗り替えた技術革新。その中心にいたのは、意外と私たちの生活にも身近な技術たちです。
これまでの主役だった石炭と蒸気機関に代わり、石油燃料と電力が登場します。電動モーターや発電機の開発によって、工場や都市のライフラインが一変。そして、ガソリンとともに広まった内燃機関が、次の主役の登場を後押しします。
1897年、ドイツのルドルフ・ディーゼル(1858–1913)が発明したディーゼルエンジンは、軽油を使って高圧でピストンを動かす高効率エンジン。ガソリンエンジンよりも燃費がよく、耐久性にも優れていたため、のちにトラックや船舶、工業機械の動力源として重宝されていきます。
技術の進化が現実の社会をどう動かしたか。人々の生活や働き方に与えた変化にも注目しましょう。
アメリカではフォード社が自動車の流れ作業方式を導入し、誰でも買える低価格の車を生産。それを支えたのが内燃機関(ガソリン・ディーゼル)です。結果、工場の生産性が爆発的に向上し、資本主義経済もスピードアップしました。
電気の普及で都市は明るくなり、地下鉄やトラムが走るように。加えて、ディーゼル車両や内燃機関車が登場し、都市交通も格段に便利になっていきます。都市の近代化=第二次産業革命の副産物と言えるかもしれません。
ヨーロッパだけで終わらないのが、産業革命の本当のすごさ。世界のパワーバランスすら動かしてしまうんです。
ディーゼルエンジンを搭載した軍艦や輸送船が登場し、航続距離と速度が向上。これにより、列強諸国はアジアやアフリカへの進出をますます強めていきました。経済的な拡張だけでなく、軍事力の近代化にも貢献したんです。
電気通信・火薬・鉄鋼・自動車・エンジンといった分野の発展は、第一次世界大戦で使われる兵器や軍需技術の下地に。ディーゼル潜水艦もその一例で、戦争のあり方を根本から変えたのです。
このように、第二次産業革命は目に見える技術──とくにディーゼルエンジンのような動力革新──によって、人間の暮らしも、世界の構造も、大きく前進させたターニングポイントだったわけですね。
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