第一次世界大戦の戦場となったヨーロッパは、長期化した大戦で荒廃し、アメリカからの援助に依存するようになっていました。そのため「暗黒の木曜日」を皮切りにアメリカが大不況に陥ると、ヨーロッパもそれに引きずられるように、倒産や失業が相次ぐ経済的苦境に絶たされたのです。
世界恐慌を受けイギリス・フランスなど世界中に植民地を持つ「持てる国」はブロック経済に踏み切り、自国産業の保護を優先します。その結果世界中で自由な貿易が滞るようになり、ドイツやイタリアのように植民地のない国は大変な痛手となりました。
そしてドイツでは1933年以降、世界恐慌による社会不安を背景に、ヒトラー率いるナチスが政権を握っていました。ヒトラーはベルサイユ条約を破棄し、再軍備・軍事産業を再開。英仏などのブロック経済に対抗し、「自給自足圏」の確保ために、オーストリア併合(アンシュルス)、チェコスロバキアの併合など侵略政策を推し進めるようになるのです。またイタリアでもムッソリーニ率いるファシスト党が、エチオピア侵略など領土拡大政策に走ります。
このように世界恐慌は、ファシズムの台頭を生み、平和路線を歩みだしていたヨーロッパの軍事的緊張を再び高めたのです。そして1939年のドイツのポーランド侵攻を受け、ヨーロッパは再び悲惨な大戦に身を投じていくことになるのです。
世界恐慌はファシストの台頭を招いた。左からフランコ(スペイン)、ヒトラー(ドイツ)、ムッソリーニ(イタリア)
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