北欧とは、広義には「ヨーロッパの北部一帯に位置する国々」を指す言葉ですが、厳密に「どこの国がそこに含まれるのか」ということに関しては立場により異なります。しかし広く一般には、北欧理事会(北欧会議)加盟国を北欧諸国と呼ぶ場合が多いです。
北欧理事会(北欧会議)は北欧諸国の協調と協力の為に結成された国際組織で、スカンジナビア諸国が中心となり1952年に発足し、以来毎年定期的に開催されている評議機関です。デンマークのコペンハーゲンに本部が置かれ、会議における決定に強制力はありませんが、発足以来、北欧社会の文化・経済政策などの協調において重要な役割を果たしてきました。
2017年現在の加盟国は、デンマーク、スウェーデン、フィンランド、ノルウェー、アイスランド、グリーンランド、フェロー諸島、オーランド諸島の5ヶ国3地域。リトアニアやラトビア、バルト三国がオブザーバーとして参加していますが、まだ未加盟です。
国際連合による北欧の分類では、上記の北欧理事会加盟国に加え、
・バルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)
・イギリス
・アイルランド
なども北欧諸国に含まれます。
日本外務省の場合、スウェーデン・デンマーク・ノルウェー・フィンランド・アイスランドの五カ国をスカンディナヴィア諸国として、北欧諸国と同一視しています。
フィンランド以外はインド・ヨーロッパ語族ゲルマン語派の北ゲルマン語(北欧語/ノルディック語/ノルド語とも)を使用する北ゲルマン系民族です。スウェーデン語、デンマーク語、ノルウェー語、アイスランド語は同じ北ゲルマン語の系統の言語なので、非常に似ています。ゲルマン語は北欧諸国以外ではほとんど話されません。
他方で同じ北欧のフィンランドに関しては、ウラル語族フィン・ウラル語派のフィン語を話すフィン人(スオミ人)が主流で、他の北欧諸国とは民族的・文化的に若干距離があります。フィンランドがスカンディナヴィアに入れてもらえない主因の一つだったりします。
北欧諸国には「スカンディナヴィア十字」と呼ばれる左よりの十字がデザインとなった国旗を使用している国が多いです。各国で色が異なり、それぞれ意味合いが異なります。
北欧といえばサンタクロースというイメージを持つ人も多いでしょう。雪の降る寒空の下、白髭、赤服、でっぷり体型のおじさんがソリに乗って現われる…というイメージが定着していますが、これは北欧神話のオーディンを原型としているもいわれています。北欧神話は、世界の数ある神話の中でももっとも知られた神話の一つで、古来より北欧に住む人々により語り継がれ、人々の精神性に影響を与えてきました。オーディンの他にも、雷神のトル、豊穣神フレイのほか、神々と対立する様々な悪魔や怪物が登場し、物語を盛り上げます。
「北欧風」と称されるものは「ホワイトベース」であることが多いですよね。北欧は高緯度ゆえに夜が暗く、暗い夜でも部屋が明るくなるように家の壁や床には白色のナチュラルカラーを取入れている場合が多いためです。また太陽光を少しでも大きく取入れる為、窓は高めの場所についています。
北欧の歴史は、その地理的な特性と独特の文化的背景により、ヨーロッパの他の地域とは異なる独自の歴史を持っています。以下に、北欧の歴史の大まかな流れを紹介します。
初期の北欧は、農業と漁業に依存する小規模な部族社会でした。8世紀から11世紀にかけてのヴァイキング時代は、北欧史の中で特に有名です。この時期、ヴァイキングは海を越えてヨーロッパ全土、さらには北アメリカに至るまで遠征を行いました。ヴァイキングは商人や探検家としてだけでなく、略奪者としても知られており、ヨーロッパの歴史に深く影響を与えました。
11世紀から12世紀にかけて、キリスト教が北欧にもたらされ、多くの地域でキリスト教化が進みました。同時期に、デンマーク、スウェーデン、ノルウェーなどの北欧諸国が成立しました。これらの国々は、中世ヨーロッパの政治の舞台にも登場し始めます。
17世紀から19世紀にかけて、北欧諸国はヨーロッパの他の地域と同様に、産業革命の影響を受け始めました。経済の近代化、社会の変化が進み、特にスウェーデンとデンマークは大きな影響力を持つようになりました。
第一次世界大戦と第二次世界大戦では、北欧諸国の多くが中立を保とうとしましたが、いくつかの国は戦争に巻き込まれました。戦後、北欧諸国は高度な福祉国家を築き上げ、平和と繁栄を享受しています。
このように、北欧の歴史はヴァイキングの時代から始まり、キリスト教化、国家形成、産業革命を経て、現代に至るまで多様な変遷を遂げてきました。各国の独立と同時に、北欧独自の文化や社会モデルも形成され、現代の政治や経済にも大きな影響を与えています。
|
|
|
|