南ヨーロッパ(南欧)の国一覧|どこからどこまでが「南欧」なの?

南ヨーロッパ(南欧)とは

南ヨーロッパは地中海沿岸に広がり、温暖な気候と古代文明の遺産が豊富な地域である。本ページでは、このような地理的要因やその影響についてさらに詳しく掘り下げていく。

どこからどこまでが「南欧」なの?南ヨーロッパの国一覧


南ヨーロッパの国と聞いて、「なんとなくイタリアやスペイン?」とイメージは浮かぶけれど、
「具体的にどこからどこまで?」と聞かれると、少し迷ってしまう──そんな人も多いかもしれません。


実は南ヨーロッパは、地中海を中心に、気候も歴史もかなり個性豊かな地域。
古代文明の舞台になった場所もあれば、宗教や交易を通じて独自の文化を育んできた国々も並んでいます。


南ヨーロッパを知ることは、ヨーロッパ全体の成り立ちを理解する近道でもあります。


このページでは、まず南ヨーロッパに含まれる国々を一覧で整理し、そのうえで、歴史の流れ、文化の特徴、地理的な共通点、そして経済の傾向まで、順番にわかりやすく紹介していきます。


「南欧って、結局どんな地域なの?」


そんな素朴な疑問を、ここで一緒にスッキリさせていきましょう。



南欧諸国(国連基準)

“南ヨーロッパ”はどこ?~南欧の国・民族・言語など~


<国連基準の地域分類>
水色:西欧諸国
オレンジ色:東欧諸国
緑色:南欧諸国
青色:北欧諸国



南欧(南ヨーロッパ)とは、ヨーロッパの南部一帯に広がる地域のことを指します。地中海を中心に歴史と文化が重なり合ってきた、ヨーロッパ世界の原点ともいえる地域です。


国際連合の分類では、南欧に属する国は16カ国。代表的なのは、イタリアスペインポルトガル、そしてギリシャ。いずれも、地中海と深く結びついた国々ですね。


そして、この地域に共通しているのは、温暖な気候と、古代から続く長い歴史。
交易や宗教、文化の交差点として発展してきた場所でもあり、ヨーロッパ文明の土台を形づくってきました。


南欧の歴史


南欧は、古代文明の発祥地として知られ、ローマ帝国や古代ギリシャ文明の遺跡が今も各地に残っています。
その積み重なった歴史の層こそが、南ヨーロッパという地域を強く特徴づけている要素です。


古代から現代に至るまで、南欧はさまざまな転換期を経験しながら、その姿を変えてきました。
ここでは、大きな時代の流れごとに、南欧史のポイントを整理していきましょう。


南欧の歴史は、ヨーロッパ文明そのものの変化を映し出す長い物語です。


古代──文明の誕生と地中海世界の統合

南欧は、とくにギリシャとイタリアを中心に、古代文明が花開いた地域です。
紀元前3000年頃からギリシャ文明が発展し、哲学・科学・政治といった、人類史に大きな影響を与える概念が次々と生まれました。


その後、紀元前8世紀にローマが建国され、共和制を経て帝国へと成長。
ローマ帝国は地中海全域を支配下に置き、この時代はパックス=ロマーナ(ローマによる平和)と呼ばれるほどの繁栄を迎えます。


ローマの法律や都市文化は、後のヨーロッパ社会の基礎となり、
さらにキリスト教の広まりによって、次の時代への流れが形づくられていきました。


中世──宗教と文化が交錯する時代

ローマ帝国の衰退後、南欧の世界は大きく分裂します。
東ではビザンツ帝国、西ではフランク王国などが勢力を持ち、政治の重心は分散していきました。


この時代、イスラム勢力の進出も見逃せません。
とくにイベリア半島(現在のスペイン周辺)では、イスラム文化が高度に発展し、学問や建築、農業に大きな影響を残しました。


一方、キリスト教世界では修道院が知の拠点となり、古代の知識が守り伝えられます。
こうした積み重ねが、後のルネサンスへとつながっていくのです。


近世──ルネサンスと世界への拡張

15世紀から16世紀にかけて、南欧は再び文化の中心地となります。
フィレンツェ、ヴェネツィア、ローマといったイタリアの都市国家を舞台に、ルネサンスが花開きました。


古代の知を再評価し、人間そのものに光を当てるこの動きは、ヨーロッパ全域へと広がります。
芸術や科学、思想の面で、近代への扉がここで大きく開かれました。


同じ時期、スペインとポルトガルは大航海時代を牽引します。
新世界との接触は、南欧を世界史の最前線へと押し上げ、大きな変革をもたらしました。


近代──革命と国家の再編

近代に入ると、南欧は激動の時代を迎えます。
フランス革命と、それに続くナポレオンの台頭は、南欧諸国にも大きな衝撃を与えました。


ナポレオン戦争を通じて、旧来の秩序は揺さぶられ、
民族や国家という意識が強まっていきます。こうした流れは、後のイタリア統一運動(リソルジメント)へとつながっていきました。


南欧は、伝統と変革のはざまで、新しい国家像を模索する時代に入ったのです。


現代──統合と課題を抱える地域へ

20世紀、南欧は二度の世界大戦と冷戦の影響を強く受けました。
戦争は多くの国に深い傷跡を残しましたが、戦後は観光業を軸に経済成長を遂げていきます。


やがて多くの国が欧州連合(EU)に加盟し、国際社会の中で重要な役割を担うようになりました。
一方で、経済危機、移民問題、地域格差といった新たな課題にも直面しています。


未来への可能性」と「乗り越えるべき課題」の両方を抱えていること──
それが、現代の南欧を理解するうえでの大きなポイントです。


このように南欧の歴史は、古代の栄光から現代の課題に至るまで、数多くの転換期を経て形づくられてきました。
それぞれの時代の選択と積み重ねが、今日のヨーロッパ社会や価値観に深く影響していることを、ぜひ押さえておきましょう。


南欧の文化


南欧は、その風土や長い歴史を背景に、ほかのヨーロッパ地域とはひと味違う文化的特徴を育んできました。
多様な地形と気候、そこから生まれた食文化や家族観、芸術、そして日々の暮らし方──それらが重なり合い、南欧らしいライフスタイルを形づくっています。


南欧の文化は、地中海という環境と歴史の積み重ねが生んだ「生活そのものの表現」です。


言語──ローマ帝国の遺産と多言語世界

地中海沿岸の南欧地域は、かつてイタリック語派のラテン語を公用語としたローマ帝国の強い支配を受けていました。
その影響から、ポルトガルスペイン、イタリアなどでは、ラテン語を起源とするイタリック語派の言語が母語として使われています。


一方、南欧の中でも東側、バルカン半島に目を向けると様子は少し変わります。
この地域では南スラヴ語や、古代ギリシア語を起源とする現代ギリシア語などが主流となっており、南欧は決して一枚岩の言語圏ではありません。


同じ南欧でも、言葉が違えば文化の表情も変わる──そんな多層的な広がりが、この地域の大きな特徴です。


宗教──信仰が暮らしに溶け込む世界

南欧では、主にキリスト教が信仰されており、とくにカトリック教会と正教会が大きな存在感を持っています。
イタリアはカトリックの中心地で、ローマにはバチカン市国が置かれています。


スペインやポルトガルでもカトリックが多数派で、宗教行事は今も地域社会の重要な行事です。
一方、ギリシャでは正教会が国教とされ、宗教は政治や教育、祝祭など、社会のあらゆる場面に深く関わっています。


南欧の街を歩くと、必ずと言っていいほど教会や大聖堂が目に入ります。
それは宗教が、単なる信仰を超えて、文化や日常生活の一部として根づいている証と言えるでしょう。


食文化──地中海が育んだ「毎日のごちそう」

南欧の食文化を語るうえで欠かせないのが、いわゆる地中海料理です。
オリーブオイル、新鮮な野菜や果物、魚介類、穀物を中心とした食事は、健康的な食生活のモデルとしても知られています。


イタリアのピザやパスタ、スペインのパエリア、ギリシャのムサカなど、
どの料理も派手さより素材の味を大切にするのが特徴。土地の気候と農産物が、そのまま食卓に反映されています。


食べることは生きること」。


そんな価値観が、南欧のゆったりとした食事風景の中に息づいています。


芸術──時代を越えて受け継がれる美意識

南欧は、世界的に見ても芸術と建築の宝庫です。
とくにイタリアはルネサンス発祥の地として知られ、人間の理性や美を追求する文化が花開きました。


街並みを見渡せば、ロマネスク、ゴシック、バロックといった建築様式が自然に溶け込んでいます。
絵画、彫刻、音楽といった分野でも、南欧は常にヨーロッパ文化の中心にあり続けてきました。


これらの芸術は、博物館の中だけのものではありません。
広場や教会、日常の風景の中に当たり前のように存在している──それもまた、南欧文化の大きな魅力なのです。


南欧の地理的特徴


南欧は地中海に面し、アルプス山脈の南端からアペニン山脈、ピレネー山脈に至るまで、じつに変化に富んだ地形を持っています。
肥沃な平野、長く続く海岸線、そして温暖な気候──これらが重なり合い、南欧ならではの自然環境と暮らしを形づくってきました。


南欧の自然は、地中海という環境を軸に、気候・地形・人の営みが密接に結びついているのが特徴です。


気候──太陽と乾燥が生み出す地中海世界

南欧の気候は、典型的な地中海性気候が中心です。
夏は高温で乾燥し、冬は比較的温暖で雨が多い──このメリハリのある気候が、自然環境と人々の暮らしに大きな影響を与えています。


この条件のもとで発達したのが、いわゆる「地中海式農業」。
小麦や大麦といった穀物に加え、オリーブ、ぶどう、柑橘類などの樹木作物が広く栽培されています。


また、年間を通して過ごしやすいことから、南欧はリゾート地としても人気。
とくに夏になると、北欧や中欧から多くの観光客が訪れ、沿岸部は活気に包まれます。


地形──山と平野、そして長い海岸線

南欧の地形は、ひと言では語れないほど多様です。
アルプス山脈の南端アペニン山脈ピレネー山脈といった山々が連なり、地域ごとに気候や自然環境に違いを生み出しています。


一方で、農業に適した肥沃な平野も各地に広がり、古代から人々の生活を支えてきました。
そして何より印象的なのが、地中海に沿って続く長大な海岸線。美しいビーチと港町が点在し、景観と経済の両面で重要な役割を果たしています。


植生──乾燥に強い地中海の緑

南欧には、地中海性気候に適応した独特の植生が見られます。
代表的なのが、コルクオークオリーブの木、そして低木が密集するマキ植生です。


これらの植物は、乾燥した夏にも耐えられる強さを持ち、南欧らしい風景を形づくっています。
また、生物多様性の面でも重要で、自然環境の保全という意味でも欠かせない存在です。


海──地中海が育んだ交流と恵み

南欧が面する地中海は、この地域の気候・文化・経済すべてに深く関わっています。
穏やかな海と温暖な気候は、観光業の大きな基盤となり、ビーチやリゾートには毎年多くの人が集まります。


また、漁業も盛んで、新鮮な魚介類は地中海料理に欠かせません。
古代から交易の舞台でもあった地中海は、まさに南欧の自然と文化を象徴する存在と言えるでしょう。


山──自然の境界と神話の舞台

イタリアにはアルプス山脈の南端とアペニン山脈が走り、スペインにはピレネー山脈が広がっています。
これらの山脈は、気候の分かれ目となり、生態系の多様性を生み出してきました。


ギリシャには、ペリオン山やオリンポス山など、古代神話に登場する山々も多く存在します。
自然と神話が結びついている点も、南欧らしい特徴ですね。


川──農業と都市を支える水の道

南欧には、多くの重要な河川があります。
イタリアではポー川が北部を流れ、農業に欠かせない水を供給しています。


スペインではエブロ川タホ川が地域経済を支える水源として重要な役割を果たしてきました。
これらの川は、農業だけでなく、都市の発展や交通の面でも大きな意味を持っています。


湖──山と水が生む憩いの風景

南欧には、美しい湖も点在しています。
とくにイタリア北部は湖の多さで知られ、イタリア最大の湖であるガルダ湖をはじめ、コモ湖マッジョーレ湖などが有名です。


これらの湖は、周囲の山々と調和した景観が魅力で、観光地としても高い人気を誇ります。
自然の中でゆったりと過ごす──そんな南欧らしい時間を象徴する存在と言えるでしょう。


南欧の経済


南欧の経済は、地中海に面した国々によって形づくられており、その中身はとても多彩です。
自然条件と長い歴史を土台に、観光・農業・製造業がバランスよく組み合わさっているのが特徴と言えるでしょう。


南欧経済の強みは、「土地の魅力」そのものを価値に変えてきた点にあります。


観光業──歴史と景観が生む最大の成長エンジン

南欧は、豊かな歴史遺産と美しい自然景観に恵まれており、観光業が非常に発達しています。
イタリアのローマやフィレンツェ、ギリシャのサントリーニ島、スペインのバルセロナなど、世界的に知られた観光地が各地に点在しています。


古代遺跡、芸術都市、地中海のビーチ──こうした資源が、年間を通じて多くの観光客を引き寄せています。
観光業は雇用の受け皿としても重要で、地域経済を支える大きな柱となっています。


農業──地中海性気候を生かしたブランド産業

南欧の農業は、地中海性気候の特性を最大限に活かした形で発展してきました。
オリーブ、ぶどう、柑橘類といった作物は、この地域を象徴する存在です。


これらは単なる農産物にとどまらず、オリーブオイルやワインなどの加工品として高い付加価値を持ち、国際市場でも評価されています。
「量より質」を重視する南欧型農業は、地域ブランドとして経済を下支えしているのです。


製造業──感性と技術が融合するものづくり

製造業の分野では、イタリアがとくに存在感を放っています。
ファッション産業自動車製造は世界的に有名で、高級ブランドの衣料品やスポーツカーは、南欧経済の象徴的な輸出品です。


また、家具やインテリア、デザイン関連製品も高い評価を受けており、
実用性だけでなく「美しさ」や「個性」を重視するものづくりが特徴です。


大量生産ではなく、品質やデザインで勝負する──
この姿勢こそが、南欧の製造業を国際市場で際立たせているポイントと言えるでしょう。


 


南欧の国々は、欧州連合(EU)の一員として、経済統合によるさまざまな恩恵を受けています。
共通市場への参加やEUからの資金援助によって、インフラ整備や地域経済の下支えが行われ、一定の経済的安定が保たれてきました。


一方で、その仕組みに強く依存しているのも事実です。
財政規律や産業政策などはEUのルールに大きく左右されるため、自国だけで自由に舵を切れない場面も少なくありません。好調なときは支えになりますが、状況が厳しくなると制約として重くのしかかる──そんな側面も抱えています。


南欧の経済は、EUという大きな枠組みの中で、安定と制約のあいだを行き来している存在です。


こうして見ていくと、南欧の経済は、観光業を軸に、農業や製造業といった多様な産業によって支えられていることが分かります。
豊かな文化や景観を生かせる強みがある一方で、景気変動や制度への依存といった課題とも常に向き合ってきました。


恵まれた資源と、乗り越えるべき現実。その両方を抱えながら歩んでいること──
それが、南欧経済を理解するうえでの大切な視点と言えるでしょう。


南欧は、イタリア、スペイン、ポルトガル、ギリシャなど、地中海沿岸に位置する国々を中心とした地域です。
国際連合の分類では、16カ国が南欧諸国に含まれています。


この地域を理解するうえで、押さえておきたいポイントは大きく分けて次の通りです。


  • 古代文明の発祥地であり、ローマ帝国や古代ギリシャ文明の影響が今も色濃く残る、重層的な歴史を持っていること。
  • 温暖な地中海性気候と多様な自然環境に恵まれ、農業や観光業が経済の重要な柱となっていること。
  • 現代では経済危機や社会問題にも直面しながら、EU加盟国として協力体制を築き、持続可能な発展を模索していること。


南欧は、過去の栄光と現在の課題、そして未来への模索が同時に重なり合う地域です。


歴史・自然・経済のどれか一つだけを見るのではなく、それぞれがどう結びついてきたのかを意識すると、南欧という地域の輪郭が、ぐっと立体的に見えてきます。