
アルプス山脈に抱かれた国、オーストリア。音楽や建築が有名なこの国ですが、実は野生動物たちの宝庫でもあるんです。険しい山々や清らかな川、深い森といったバリエーション豊かな自然環境の中で、多様な生きものたちが共存しているんですよ。今回は、そんなオーストリアの動物たちに注目してみましょう。
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山と森と川が織りなす、動物たちにとっての理想郷。
国土の大部分を占めるアルプス山脈は、寒冷で岩だらけの高地環境。ここではシャモアやムフロンといった山岳地帯に特化した動物たちが生きています。標高によって植生も変わるため、多様な動物相が見られるのが特徴です。
アルプスの雪解け水は無数の川となって流れ、やがてドナウ川に注ぎます。そうした豊かな水環境にはカワウソやビーバーといった水辺の動物たちが多く暮らしています。そして周辺の森林では、リスやイノシシなども見られます。
古くからの伝統と自然観が、動物との関係を育んできました。
オーストリアでは中世以来、貴族の嗜みとしての狩猟が根づいていました。今日ではレクリエーションとして行われる一方で、生態系のバランス維持という目的も兼ねています。狩猟免許の取得には長い研修と試験があり、知識と倫理が重視されます。
アルプス観光やハイキング文化が盛んなオーストリアでは、動物たちを邪魔者扱いするどころか、自然の一部として大切にする姿勢が広く共有されています。山小屋ではリスに出会えることもあるし、川沿いでカワウソに遭遇することも。そんな偶然を楽しむのが、この国のスタイルです。
では、オーストリアの自然を象徴する動物たちを紹介していきます!
シャモア
急斜面をものともせず跳ね回る山岳の住人、シャモア。ヤギに似たこの動物は、アルプスの高所で生活しています。しなやかな体と強靭な脚力を活かし、岩だらけの崖を軽々と駆け上がる姿はまさにアクロバット。
ムフロン
巨大な渦巻き角が目を引く野生のヒツジ、ムフロン。森林地帯に多く、群れで行動することが多いです。かつては絶滅の危機にあったものの、保護活動によって再びその姿を山間部で見ることができるようになっています。
ビーバー
川を堰き止める建築家ビーバーは、オーストリアでも再導入された成功例のひとつ。いったん絶滅しかけたこの動物は、今ではドナウ川流域などに定着し、再び湿地をよみがえらせています。
カワウソ
好奇心旺盛な水辺の住人カワウソも、再びオーストリアで姿を見せるようになってきました。魚を器用にとらえる姿や、愛らしいしぐさが人気の的。環境が整えば、野生動物はちゃんと戻ってくるのだという証でもあります。
リス
森のアイドルといえばリス。オーストリアではよく見られる存在で、特に紅葉の季節になると、木の実をせっせと集める姿が微笑ましいんです。赤茶色や黒い毛色の個体もいて、地域によって若干のバリエーションがあります。
イノシシ
意外にも街近くで出会うこともあるのがイノシシ。都市近郊の森でも目撃され、時に農地に出没することもあります。とはいえ本来は臆病な動物なので、人を避けて静かに生活しています。
このようにオーストリアには、高山地帯から川辺、森の中まで、さまざまな環境に適応した動物たちが暮らしています。音楽の国といわれるオーストリアですが、そのメロディーの背景には、こうした自然の調べがしっかりと息づいているのです。
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