
スイスって山と湖の国、アルプスのイメージが強いですが、実は民族衣装もめちゃくちゃ個性豊かなんですよ。しかも一口に「スイスの民族衣装」といっても、ドイツ語圏・フランス語圏・イタリア語圏と地域によって雰囲気が全然違います。山岳地帯では防寒性を重視した厚手の生地や毛皮が使われる一方、湖畔や農村部では花柄やレースをあしらった華やかなデザインが多いんです。スイスの民族衣装は「多言語・多文化の影響」と「地域の自然環境への適応」が大きな特徴なんです。
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女性の衣装はブラウス、コルセット、ロングスカートが基本セット。そこにエプロンやショールを合わせます。スイスでは特に刺繍やレース細工の美しさが目を引きます。
標高の高い地域ではウール素材のスカートや厚手のショールを使い、防寒をしっかり考えた構造になっています。色は赤や黒が多く、そこに花柄刺繍を加えるのが定番です。
ジュネーブやローザンヌ周辺では明るい色調やレース飾りが多く、農作業用よりも祝祭用の豪華さを重視。エプロンには光沢のある布や細かいプリーツ加工が施されます。
スイス・フリブールの女性民族衣装
1912年頃の絵葉書に残る装いで、大きなコイフと飾りのある上衣が特徴(地域ごとに装飾や配色が変わる)
出典: Photo by Editions Louis Burgy, Lausanne / Wikimedia Commons CC BY-SA 4.0より
男性は刺繍入りのシャツやベスト、そしてズボンや半ズボンにサスペンダーという組み合わせが多いです。アルプスの観光ポスターに登場する“山の青年”の姿がまさにこれですね。
厚手のフェルト帽に羽飾りをつけた帽子が特徴的で、シャツは赤や白を基調にエーデルワイス柄の刺繍が入ります。ベストやジャケットはウール製で、防寒とおしゃれを両立。
ジュラ地方やチューリヒ周辺では黒や紺のベストに金や銀のボタンが施され、ややフォーマルな印象。祝祭時にはポケットウォッチを胸ポケットから見せるのが粋とされていたんですよ。
スイスの民族衣装は中世の農民服をベースに発展しました。アルプス交易でドイツ・フランス・イタリアの影響を受け、各地方の文化がミックスされています。19世紀には観光業の発展とともに「スイスらしさ」をアピールするため、地域ごとの衣装が再評価されました。
ドイツ語圏は濃い色と花刺繍、フランス語圏はレースと明るい色彩、イタリア語圏は鮮やかな色と軽い生地が特徴です。こうした差は、気候だけでなく交易や歴史的支配の影響から生まれました。
現在では民族舞踊、音楽祭、観光イベントなどで着用されるほか、刺繍やエプロンのデザインは土産物や現代ファッションにも取り入れられています。チューリヒやルツェルンでは観光客向けに衣装を着て記念撮影できるサービスも人気です。
こうして見ると、スイスの民族衣装は、多文化の融合と自然への工夫が詰まった、まさに「着る文化遺産」なんです。
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