魔女狩りというのはキリスト教徒の間で魔女とされた人々に対して加えられた弾圧・迫害行為のことです。
教会による魔女の取り締まりは12世紀頃から始まり、15世紀末のインノケンチウス8世の治世から本格化しました。そして16~17世紀には、宗教改革に端を発する宗教対立が憎悪を煽り、歴史上もっとも熾烈な迫害が行われたのです。
1585年、スイスにおける魔女狩りの様子。「魔女」とされた3人の女性が火刑に処されている。(Johann Jakob Wick画)
中世ヨーロッパというのは教会の力が非常に強かった時代で、何でも神中心の考え方が支配的だったために、少しでもそこからはみ出した者は異端扱いでした。魔女狩りというのはその最たる例ですが、人々はしだいにそんな行き過ぎた信仰押し付けを窮屈に感じるようになります。
そんな中で人々は、キリスト教が普及する以前の、古代ギリシア・古代ローマにおける「人間中心の古典文化」に魅力を感じるようになり、ヒューマニズムをベースにした文化・思想の変革運動「ルネサンス」が勃興するのです。
ルネサンス運動は必然的に教会のあり方に対する批判へと繋がり、宗教改革を引き起こしました。つまり魔女狩りを始めとする宗教的弾圧がルネサンス開花の要因の1つとなり、そのルネサンスが宗教改革の引き金を引き、宗教改革による宗教対立が魔女狩りを過熱させた・・・という不幸の悪循環があったのです。
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