ボッカチオとは何をした人?〜近代小説の祖〜


ボッカチオの基本情報

 

生年:1313年
没年:1375年
出身:不明
主著:『デカメロン』
別名:「近代小説の祖」
功績:ヨーロッパ散文小説の模範を確立

 

ボッカチオ(1313年 - 1375年)とはイタリアの小説家で、『デカメロン』の作者として有名な人物です。ルネサンス期にフィレンツェ商人の子として生まれ、息子を商人にしたい父親に逆らって作家の道を志します。そして1327年から2年間ナポリ宮廷で過ごし、そこに出入りする様々な知識人・作家との交流の中で刺激を受けながら創作活動を行うようになったのです。

 

1340年に故郷に帰還し、50年代にかけて『アメートの妖精談』『愛の姿』『マドンナ・フィアンメッタの悲歌』『デカメロン』などの作品を書き上げています。彼の最高傑作と目される短編小説集『デカメロン』(1353年)は、ナポリで商業見習いをしていた時の経験を活かして書かれた「人間喜劇」で、ヨーロッパ散文小説の模範的な作品となったことから「近代小説の祖」ともいわれています。

 

ボッカチオの代表作

ボッカチオの代表作といえばやはり1348年から1353年にかけて書かれた『デカメロン』が筆頭として挙げられるでしょう。ギリシャ語の「10日」(dekahemerai)に由来しているため、和約では『十日物語』とも呼ばれます。

 

内容は、ペストの大流行からフィレンツェに逃れた男女10人が、退屈しのぎに話をするというもので、10人が毎夜1話ずつ語るという形式をとる短編物語集となっています。

 

中世ヨーロッパの伝説や逸話・実話などをベースに、喜劇、悲劇など話のバリエーションは多岐に富み、王族、貴族、聖職者、教皇、乞食など全ての社会階層の人物が登場するので、当時の社会を垣間見ることができます。宗教的色彩が廃された人間中心の物語が大半となっているのも、当ルネサンス文化が隆盛していた当時の世相を反映しています。

 

『デカメロン』は、イタリア散文芸術の先駆けといわれ、最初の近代小説ともみなされています。