ヴェルサイユ条約の調印において、中国がこれを拒否したのには重要な理由があります。第一次世界大戦後の1919年に締結されたこの条約は、当時の国際政治における多くの問題点を露呈しましたが、中国にとって特に重要だったのは、その領土と主権に関わる内容でした。以下でヴェルサイユ条約調印時の中国の立場とその拒否の理由について詳しく解説します。

 

 

山東省の問題

ヴェルサイユ条約において、中国が特に問題視したのは、山東省に関する条項です。この条約では、ドイツが山東省において有していた権益を日本に譲渡することが定められていました。この決定は、中国の主権を無視するものであり、中国国内で強い反発を引き起こしました。

 

五・四運動の影響

ヴェルサイユ条約に対する中国の反応は、1919年の五・四運動に直接つながります。この運動は、中国の若者を中心に反帝国主義と民族主義の高揚をもたらし、政府に対する圧力を強めました。五・四運動は、中国の近代化と国際政治における独立を求める動きの一環でした。

 

中国の国際的地位と主権の確立

中国がヴェルサイユ条約の調印を拒否した背景には、国際的な地位と主権の確立への強い願望がありました。この拒否は、中国が帝国主義的な圧力に対して自らの立場を堅持する意思を示したものであり、後の中国外交政策の方向性を決定づける重要な出来事となりました。