ローマ神話における「最高神」とは?

 

ローマ神話における「最高神」はユーピテルです。英語読みではジュピターとなり、「木星」の意味もあるため耳馴染みがあるかもしれません。ユーピテルはギリシア神話のゼウスと同一視されることも多いですが、それ以前からローマの神々の中心に位置する神でした。

 

 

ユーピテルの特徴

ユーピテルは、古くは天空の神、気象を司る神とされていました。のちにローマ神話の最高神となり、ギリシア神話のゼウスと同一視されるようになります。

 

出自

農耕神サートゥルヌスと大地の女神オプスの間に生まれたとされており、妻は結婚と出産を司る神ユーノー、戦の神マールスはユーピテルとユーノーの間に生まれた子供と言われています。

 

古代ローマにおけるユーピテル信仰

古代ローマでは、古来よりローマの守護神として崇敬を集め、町の中心にはユピテル神殿が建設されていました。古代ローマにおいて、一騎討ちで敵の将軍を打ち取った者は、その将軍の勲章をユーピテルに奉献していましたが、これはユピテルが戦争において「一騎討ちの神」として信仰されていたためです。

 

皇帝崇拝に利用される

ローマ皇帝ディオクレティアヌス帝(在位:284年〜305年)は、ローマ市民の愛国心を強化するため、自らを「ユーピテルの子」であると宣言し、皇帝とローマの神々を同様に礼拝すること(皇帝崇拝)を義務づけました。この政策が功を奏したかどうかはわかりませんが、当時ユーピテルがどれほど人々の信仰の対象とされていたかをうかがい知ることのできるエピソードといえます。