ナナイ族

ナナイ族


ナナイの者は川とともに生き、霧とともに語り、獣の沈黙に耳を澄ます。自然は我らの書物であり、祖先はその頁に宿る。

 

─ 民族学者・レフ・シュテルンベルグ(1861 - 1927)

 

ナナイ族は極東ロシアに住むツングース系の先住民族で、ロシア領と中国領にまたがるアムール川流域に約13000人が暮らしています。「ナナイ」は自称であり、かつては「ゴリド」と呼ばれていました。ツングース諸語のナナイ語を話し、シャーマニズムを信仰。伝統的にサケ・マス漁を中心とする漁労を生業とし、食文化も魚食が中心で、魚肉はふだん凍らせておき、食べるときに切り分け生のまま調味料(醤油など)を付けて食すのが一般的です。またサケやマスは食すだけでなく、皮を鞣(なめ)して普段着としての魚皮衣をつくったり、鱗を利用してネックレスを作ったり、骨から玩具を作ったりなど、余すことなく利用するのがこの民族の伝統です。

 

1894年発行のフランス旅行週刊誌に掲載されたナナイ族