オーストリア文学の歴史と特徴とは?

19世紀末、ハンガリー帝国の首都ウィーンで「世紀末ウィーン」という多様な文化事象が発生しており、現在のオーストリア文学というのは、この時期の文学的発展が基礎になっています。世紀末ウィーンを代表する作家といえば、スケッチ風の短編を得意としたペーター・アルテンベルク(1859〜1919年)が挙げられます。彼はウィーンのカフェハウスに入り浸り、創作活動をしていたことから「カフェ文士」と呼ばれるようになりました。

 

 

ドイツ文学との違い

オーストリア文学というのはオーストリア人によって書かれたドイツ語による文学のこと。しかしドイツとオーストリアは国境を接する隣国で、公用語も同じドイツ語なので、ドイツ文学とオーストリア文学は区別せず一括して扱われることも多いです。その一方で、両国は歩んできた歴史も文化も政治も異なるので、「オーストリア文学」を安易に「ドイツ文学」と同じに扱えないのもまた事実です。

 

オーストリア文学の簡易年表

14世紀

1365年、後に人文主義文学の中心となるウィーン大学が設立される。

 

15世紀

フィリップ・フランクフルターの滑稽文学が登場する。

 

16世紀

宗教革命と対抗宗教改革が過熱化する中、アブラハム・ア・サンタ・クララ(1644―1709)による説教文学が登場する。

 

20世紀

第一次世界大戦で多民族国家オーストリア=ハプスブルク帝国が崩壊し、現在に続く「オーストリア」という独立国家が成立する。オーストリアの「国民文学」の真の意味での成立はこのオーストリアの成立にみることができる。第二次世界大戦後、敗戦の傷を癒すべく、オーストリアの古い伝統を復権しようとする運動が盛り上がる。

 

オーストリア文学の有名作品一覧

  • 『チャンドス書簡』(1902)ホフマンスタール著
  • 『昨日の世界』(1943)シュテファン・ツヴァイク著
  • 『カール氏』(1961)ヘルムート・クバルティンガー著
  • 『最後の世界』(1988)クリストフ・ランスマイア著