


イギリス人の身体的特徴や顔立ちについてお話しするとき、まず押さえておきたいのが、その多様性の幅広さです。
ひとことで「イギリス人」と言っても、国全体の中には本当にさまざまな民族的背景を持つ人々が暮らしています。長い歴史の中で人の行き来が重なり、それぞれ違った個性が形づくられてきた──そんな土地柄なんですね。
ですので、「こういう顔」「こういう体つき」と決めつけてしまうのはちょっと乱暴。 あくまでも全体を見渡したときに感じられる、ゆるやかな傾向として捉えることが大切です。
この記事では、特定のイメージを押しつけることは避けつつ、一般的に語られやすい傾向という視点から、イギリス人の身体的特徴や顔立ちについて、やさしく整理していきます。
「そういう傾向もあるんだな」くらいの軽い気持ちで、読み進めていただければと思います。
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TIME誌1953年表紙に描かれたエリザベス2世(1926 - 2022)
即位から間もない時期の肖像画。
卵型の輪郭に整った鼻筋、やや丸みのある頬が特徴。
出典:『Queen Elizabeth II-TIME-1953』-Photo by Boris Chaliapin/Wikimedia Commons Public domain
現代のイギリス人は、本当に幅が広いです。
ただし、歴史的に多数派とされてきた層に注目すると、いくつか共通して語られやすい傾向も見えてきます。ここではあくまで「全体の中でよく見られる特徴」という視点で、整理していきましょう。
イギリス人の肌の色は、一般的には白色〜明るいピンク系が多いと言われます。
日照時間が短く、紫外線も比較的弱い気候の影響を受けてきたため、全体的に色白な印象を持たれやすいですね。
とはいえ、これはあくまで傾向のお話。
イングランド、スコットランド、ウェールズなど地域によっても差があり、同じ「色白」でも赤みが強かったり、少しオリーブがかったりと、微妙な違いが見られます。
目の色は、青・グレー・ヘーゼルといった淡い色が比較的多いのが特徴です。
特に青系の瞳は「イギリス人らしい」とイメージされやすい部分かもしれません。
目の形そのものは、彫りが深すぎるというより、ややすっきりした印象の人が多め。 派手さよりも、柔らかさや落ち着いた雰囲気を感じさせる目元が多いと言えるでしょう。
鼻については、「高い」というよりも骨格がはっきりしているタイプが目立ちます。
鼻筋がまっすぐ通っていたり、先端がややシャープだったりと、横顔に特徴が出やすい印象です。
いわゆる南欧的な彫りの深さとは少し違い、顔全体のバランスの中で鼻が主張する、そんなイメージですね。
イギリス人というと金髪のイメージが強いですが、実際にはライトブラウン〜ダークブラウンもかなり多く見られます。
ブロンド、茶色、赤毛まで含めると、髪色のバリエーションはかなり豊富です。
特に赤毛は、イギリス諸島ならではの特徴として知られており、個性として大切にされることも多いですね。
イギリス人の身体的特徴は、「これが正解」という型があるわけではありません。
ただ、歴史や気候の影響を受けた結果として、色白の肌、淡い瞳、はっきりした骨格といった語られやすい傾向があるのも事実です。
あくまで全体像をゆるく眺める視点で捉えると、その多様さ自体がイギリスらしさなのだと感じられます。
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ローマ撤退後にブリテン島へ渡来するアングロ・サクソン人の地図
アングル人・サクソン人・ジュート人の出自と、5世紀ごろの定着域を示す。
のちの北欧系・ノルマン系の渡来も重なり、ブリテンの人口構成は多層化した。
出典:『Anglo-Saxon Homelands and Settlements』-Photo by Mbartelsm/Wikimedia Commons CC BY-SA 3.0
イギリス人の顔立ちは、「この系統です」と一言で言い切れるものではありません。
なぜなら、その顔つきそのものが、何層にも重なった民族史の“結果”だからです。時代ごとにどんな人々が渡り、混ざり合ってきたのか──そこを追っていくと、今のイギリス人の多様な表情が、少しずつ見えてきます。
最初にブリテン島へ本格的に人が定住したのは、氷河期が終わったあとの先史時代。
この時代の人々は、大陸ヨーロッパから渡ってきた狩猟採集民や農耕民で、比較的素朴で丸みのある骨格を持っていたと考えられています。
現代の感覚で言えば、やや柔らかい顔立ちのベース部分。
ここが、イギリス人の顔の「土台」になっている、とイメージすると分かりやすいかもしれません。
次に大きな存在感を示すのがケルト系の人々です。
彼らはブリテン島各地に広がり、背が高めで、明るい髪色や淡い瞳を持つ人も多かったとされています。
さらに古代にはローマ帝国が進出。
地中海世界の血が少量ながら加わったことで、顔立ちに骨格のシャープさや、わずかな変化がもたらされました。
この時代までに、「北方的な要素」と「大陸的な要素」が静かに混ざり始めたのです。
中世に入ると、顔立ちの印象を大きく左右する集団が次々と登場します。
アングロ・サクソン人、そして北欧からやってきたヴァイキングたちです。
彼らの特徴は、比較的高い鼻梁、明るめの瞳、そして直線的な骨格。
とくに北部や東部では、その影響が色濃く残り、現代でも「いかにも北ヨーロッパらしい」顔立ちが多く見られます。
近世になると、イギリスは一気に外の世界へ目を向け始めます。
大航海時代、そして海外進出の加速。人と人の移動が増え、ブリテン島は「通過点」でもあり「交差点」にもなっていきました。
とはいえ、この時代はまだ大規模な人口流入というより、商人や船乗り、軍関係者などが中心。
顔立ち全体を一変させるほどではありませんが、都市部を中心に、わずかながら新しい系統の特徴が混ざり始めます。静かだけれど、確実な変化。そんな時代です。
近代に入ると、状況は一変します。
イギリスは世界規模で領域を広げ、多くの地域と直接的につながるようになりました。
その結果、アジア、アフリカ、カリブ海地域など、さまざまなルーツを持つ人々が国内に定住。
顔立ちも、肌の色も、目の形も、これまで以上に多様化していきます。
「典型的なイギリス人像」が揺らぎ始めたのが、この頃。
同時に、多様性が社会の前提になり始めた時代でもありました。
現代のイギリスでは、「この顔立ちがイギリス人」という定義そのものが成り立ちません。
数世代前まで遡るだけでも、ルーツが複数の地域にまたがる人は珍しくないのです。
街を歩けば、本当にさまざまな顔立ちに出会います。
それぞれが違う背景を持ちつつ、「イギリス社会の一員」として自然に並んでいる──そんな光景が、今では当たり前になりました。
顔立ちは、もはや分類するものではなく、歴史が積み重なった結果として尊重されるもの。
そこに、この国の現在地が表れています。
イギリス人の顔立ちは、先史時代から現代に至るまでの民族移動と交流が刻まれた「生きた歴史」です。
特定の型に当てはめるより、その背景にある時間の厚みを感じることで、イギリスという社会の奥行きが見えてきます。
違いがあるからこそ成り立つ──それが、現代イギリスの大きな特徴なのです。
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