古代ローマで使われていた楽器とは?

 

古代ローマは戦争や政治では極めて優秀だったものの、文化面では平凡でした。そのため古代ローマにおける音楽といえば、古代ギリシア音楽の思想や理論、楽器を踏襲したものとなり、とりわけ革新的な側面はありません。

 

 

古代ローマにおける音楽の役割

古代ローマでは音楽に対する姿勢が、古代ギリシアとは違っていました。古代ギリシアでは音楽や劇というのは公共が投資すべき「芸術」と考えられていましたが、古代ローマではしょせん戦争や娯楽の道具として考えられていました。

 

ローマではラッパがよく演奏されましたが、これは演奏のためというより、戦争の際に示威や鼓舞、合図のために使う軍楽器としてでした。

 

こういう姿勢だったもので、古代ローマ時代、音楽分野に革新的なことはほとんど起こっていないのですが、キリスト教化してからは、音楽がキリスト教とうまいこと結びつき発展していくことになります。

 

古代ローマで使われていた主な楽器

ティブルス(Tibiae)

ティブルスはギリシアのアウロスに由来する二重管のリード楽器で、フルートに似ています。古代ローマの音楽で重要な役割を果たし、儀式や宗教的な行事、宴会でよく使用されました。ティブルスは、複数の音を同時に出すことができ、演奏者は一度に二つの管を吹いてメロディを奏でました。

 

キタラ(Cithara)

キタラはギリシアのキタラに由来する弦楽器で、リュートやギターの原型とされています。キタラは、音楽の教育や娯楽、詩の朗読の伴奏として使用されました。上流階級の家庭では、キタラの演奏が嗜まれ、高い教養の象徴とされました。

 

ラッパ(Buccina, Cornu)

ラッパは、戦争や軍事行動の際に使用される軍楽器として重要でした。ブッキナ(Buccina)やコルヌ(Cornu)と呼ばれるラッパは、指揮官が軍隊を指揮し、戦闘中の合図を送るために使用されました。これらの楽器は、金属製で非常に大きな音を出すことができ、遠くまで音が届くように設計されていました。

 

水オルガン(Hydraulis)

水オルガンは、水の圧力を利用して音を出す鍵盤楽器で、古代ローマの娯楽や儀式で使用されました。水オルガンは、音楽的に複雑なメロディを奏でることができ、その音色は非常に美しいとされていました。後に教会音楽に取り入れられ、中世のオルガンの原型となりました。

 

パンフルート(Syrinx)

パンフルートは、複数の管を束ねた笛で、ギリシアの影響を受けた楽器です。シリンクス(Syrinx)とも呼ばれ、牧神パンにちなむ名前です。農村部での音楽や、牧歌的な風景の中での演奏によく使用されました。

 

ティンパニ(Tympanum)

ティンパニは、皮を張った太鼓で、宗教的な儀式や祭り、軍事行動に使用されました。ティンパニのリズムは、人々を鼓舞し、士気を高める効果がありました。

 

古代ローマにおける音楽は、主にギリシアの影響を受け、その楽器や理論を踏襲しました。ティブルスやキタラ、ラッパ、水オルガン、パンフルート、ティンパニなど、様々な楽器が使用され、戦争や儀式、娯楽の場で重要な役割を果たしました。特にラッパは軍事行動での合図として、また水オルガンは教会音楽に取り入れられ、後世に大きな影響を与えました。ローマの音楽は、キリスト教の普及とともに発展し、後の西洋音楽の基礎となりました。